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2013-03-08 平成25年第1回定例会(第6日目) 本文
2013-03-08 平成25年第1回定例会(第6日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2013-03-08
    2013-03-08 平成25年第1回定例会(第6日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    ふくし山ノブスケ君    藤 崎   剛 君    山 田 国 治 君    桑 鶴   勉 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(金子万寿夫君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  ふくし山ノブスケ君に発言を許可いたします。
       [ふくし山ノブスケ君登壇](拍手) 3 ◯ふくし山ノブスケ君 おはようございます。  県民連合の一員として、一般質問を行います。これまでの代表質問あるいは一般質問と質問の構成上重なるところもありますけれども、御了承いただきたいと思います。  まず、県と鹿児島市の連携がどのように図られているか、当面の課題と思われる件について伺ってまいります。  現在、鹿児島市が、かごしま水族館や桜島フェリーターミナル高速船旅客ターミナル等があるウォーターフロント地区への路面電車観光路線新設に向けた調査検討を行っています。  今年度設置された鹿児島市路面電車観光路線検討連絡会議における第一回連絡会議資料では、市電、桜島フェリーの有効活用の方策検討のため、二十二年度に有効活用策に関する基礎調査を実施し、ウォーターフロント地区への路線新設も有効活用策の一つとして検討することとしたこと。二十三年度は、多くの市民や観光客が訪れるウォーターフロント地区へ観光路線として新設し、鹿児島中央駅とウォーターフロント地区との結節強化を図るため、実現可能な路線の検討を進めているところであるとされています。  今回の計画は、ウォーターフロントへ観光客を誘導しようとする、いわば九州新幹線効果を狙う観光路線との位置づけになっていますが、新路線計画についてどのように評価しているのか、まず伺います。  調査検討に当たっては、観光利便性や導入空間、交通処理、事業化の検証の観点から行うこととされ、二十三年度は、観光利便性と導入空間の観点から新設路線五ルートが選定されています。  ルート選定までのスケジュールは、今年度は国・県・市・公安委員会等で構成する検討連絡会議を設置し、ルートの検討・選定、景観や環境に配慮した車両の導入など観光路線の検討調査を行う。二十五年度以降にルート決定や基本計画策定を行い、都市計画決定、港湾計画の変更など事業実施に係る法的手続を始める予定となっています。  連絡会議は、今年度三回開催されています。事業の概要説明、軌道整備に関する整理、交通処理の面からの路線の整理、そして、ことし一月の三回目の会議では、概算事業費や新設路線の需要見通し等について協議がなされたとのことであります。  以上の経過から、この連絡会議には、本県関係者として企画部、土木部、鹿児島地域振興局建設部県警察本部交通部からも委員として参加しておりますので、検討されている五ルート全てがドルフィンポート前を通ることについて承知していたわけであります。しかし、第三回連絡会議後の「観光の目玉 黄信号」という見出しの新聞記事を目にし、順調に進んでいると思っていた計画に課題があることを知ることとなりました。  知事は、二月一日の定例記者会見で、「ドルフィンポート前の緑地帯の効用が一気に半減するし、また、削らなければならなくなる手前の臨港道路のほうがより広く、より面積・背景を持っているので、そちらのほうがいいという提案だ。ドルフィンポートの前に電車が入ることによってグリーンベルトが大きく削減され、緑が少なくなる。せっかくつくった公園まで潰して電車を入れるという考えはない」と述べておられます。  知事が、これまで緑の保全、緑化推進に力を注ぎ、さまざまな施策を講じてきておられますので、知事の見解は見解として理解できます。しかし、何人かの方々から、なぜこの時期での発言だったのか、県・鹿児島市の協議はどうなっていたのか、連携はとられていなかったのかと疑問の声がありました。  連絡会議での協議内容については先ほど紹介をしましたが、そのとおりだとすれば、県としての課題として何があるのか。そのことについての協議、連絡会議での意見反映はなされてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。  通常、国・県・市など、それぞれにかかわりのある施策や事業、特に都市計画などを進めるに当たって、今回のような連絡会や協議会等に国・県・市それぞれの代表も参加し、調整等に努めていると思います。関係のある課題については持ち帰り、関係部署での協議・検討の上、一定の考え方を整理し、連絡会等にフィードバックするというのが普通だと思います。ですから、一、二回目ではなく三回目の連絡会議での県委員の発言や、その後の知事発言に違和感を覚えるのは私だけではないと思います。  新聞報道において、「一連の流れからかいま見えてきたのは、鹿児島観光の発展に大きなポテンシャルを持つウォーターフロント地区の開発について、十分な意思疎通ができていない県と市との関係だ」という、批判ともとれるコメントがなされるのは無理もありません。  第三回連絡会議における路線についての県独自ルートの提案に至るまで、関係部署等での協議はどのように行われてきたのか明らかにしてください。  鹿児島市は、県提案の本港区線を通るルートについて検討するとのことでありますので、今後、連絡会議においてルートの選定がなされるものと思いますが、県・市双方にとって延伸目的である観光資源の有効活用が図られるために、より効果のあるルートが選定されることを願うことから伺いますが、この件に関して、知事と森市長の意見交換等はなされてきたものかどうか。なされていないとすれば、今後必要だと思われますが、どのように対応していかれるつもりかお聞かせください。  次に、県総合療育センターの役割と障害児支援の課題等についてであります。  平成二十二年の六月に開所した県こども総合療育センターは、障害児全般にわたる総合相談窓口を備え、保護者や地域からのさまざまな相談に応じるほか、診療や療育機能とあわせ、関係機関と連携して地域療育の支援を行う機能などを持った公的機関として、その役割を果たすべく健闘しています。  しかし、開所以来、余りの相談者の多さから数カ月もかかる診察待ち期間など厳しい現実のもと、人員増員や研修等、課題等については走りながら改善を続けているというのが実態ではないでしょうか。  そのような状況等もあり、鹿児島市に市独自の公的拠点施設設置の要望がなされています。鹿児島市に公立の子育て・発達支援センターをつくる市民の会のグループから鹿児島市議会に陳情が提出され、約九年が経過いたしますが、現在、継続審査の扱いとなっています。  先日の代表質問で松田保健福祉部長は、鹿児島市独自の拠点施設について、「地域の療育施設と連携して、個々の障害児に応じた、より効果的な支援を円滑に行うための拠点となる施設を整備されることが望ましいことであると考えている」と答弁されましたので、そのことも念頭にお伺いいたします。  まず、こども総合療育センター開所以来、診察を受けるまでの待機期間が余りにも長く、課題となっています。待機期間の状況について示してください。  また、初診、療育指導、相談者の人数について、鹿児島市と鹿児島市以外の地域に分けて示し、鹿児島市民の割合も明らかにしてください。  鹿児島市議会に提出されている市独自の発達支援センター設置の陳情について、内容等について県として把握しておく必要があると思いますが、県の療育センター設置後も同趣旨の陳情が提出されています。その理由をどのように把握しているのかお聞かせください。  昨年四月から改正児童福祉法が施行されました。障害児支援についても、重複障害に対応するとともに、身近な地域で支援を受けられるよう障害種別ごとに分かれていた障害児施設の体系が、入所、通所の別により一元化され、障害児入所支援については県が、障害児通所支援については市町村が所管するなどの改正がなされました。  改正趣旨が関係機関等に周知されているのか。支援体制は実効あるものとなっているか。各市町村の児童発達支援並びに医療型児童発達支援等の整備状況も含めて、県としてどのように把握しているのか。あわせて、現時点での課題と改善のための取り組みについても明らかにしてください。  その上で、総合的な観点から指導・助言等をする必要があると思います。鹿児島市独自の拠点施設についても、率直に意見交換をする機会を持ち、障害児並びに保護者や家族など当事者の立場で、県・市双方が果たすべき役割を認識することが必要だと思います。見解をお聞かせください。  市電の観光路線新設や児童発達支援について伺いましたが、いずれも県と市の連携のあり方が課題の一つであり、関係部署の緊密な連携はもちろん、知事、市長のトップ協議、意見交換が互いの施策推進をより円滑にするものと考えます。  今後、少子・高齢社会への対応として財政需要もますます増大することが見込まれます。一方で自治体財政は厳しい状況にあり、行政サービスの提供が適切になされるか危惧されます。それだけに、県と市町村あるいは市町村間の連携体制をどう整備するかが問われていると思います。連携に当たっては、できるだけ双方にとってメリットとなる、互いに補完機能が働くということが重要であり、それが連携の成功・継続につながるものと考えます。それには互いに尊重し合うことが最も重要であります。  そこで伺います。  知事と鹿児島市長の協議・意見交換はどのような形で行われているか。定期的な協議等はあるのか。定期以外に、案件によって協議がなされる場合もあると思いますが、どのような考え方に基づいてなされているか、基準的なものがあるのかお示しください。  また、県と市町村の連携強化がますます求められていますから、一定の制度化が必要と考えますが、見解を伺います。  担当者レベルでの協議について、例えば、今回は鹿児島市路面電車観光路線検討連絡会議に、県警も含め、県関係者として四人が委員として構成メンバーになっていますが、そのような委員の位置づけと果たす役割についてお示しいただきたいと思います。  以上で、一回目の質問といたします。 4 ◯土木部長(栗原淳一君)観光路線新設計画に対する評価についてです。  観光路線新設計画については、平成二十二年に策定された鹿児島市公共交通ビジョンに基づき、鹿児島市において検討されているところです。当該路線は、多くの市民や観光客が訪れる桜島フェリーターミナルやかごしま水族館、種子・屋久高速船旅客ターミナルなどがあるウォーターフロント地区へ観光路線として新設し、都市景観や観光資源の面からさらなる有効活用を図るとともに、市民や観光客にわかりやすい公共交通機関である市電で鹿児島中央駅とウォーターフロント地区との結節強化を図ることを目的として、計画されているものと認識しております。  路面電車の課題と県のルート提案に至る協議についてです。  路面電車観光路線については、今年度、道路管理者や行政関係者等で構成する鹿児島市路面電車観光路線検討連絡会議が設置され、主に技術的な観点から交通処理や概算事業費などについて検討を行っております。  県では、港湾・道路担当課などで検討を進める中で、鹿児島市が提案した五つのルートが通過するドルフィンポート周辺の臨港道路、南北ふ頭線や南ふ頭線は車線数が二車線と少なく、交通安全上の課題が想定されることや、県民に広く親しまれている緑地が大きく削減されることなどが懸念されたところです。このため、あらかじめ市の担当部局と協議を行った上で、第三回検討連絡会議において、本港区線を検討対象として追加することを提案したところです。  路面電車にかかわる知事と市長の意見交換についてです。  路面電車観光路線については、昨年八月に知事、市長が出席して開催された県市意見交換会において意見交換が行われたほか、さまざまな機会を捉えて鹿児島市と意思の疎通を図っているところであります。  それから、路面電車観光路線検討連絡会議の委員の位置づけと役割についてです。  検討連絡会議には、県から土木部、企画部、警察本部及び鹿児島地域振興局の職員が委員に選任されており、それぞれ港湾や道路の管理、都市計画、交通管理等について、主に技術的な観点から総合的に検討を行っております。 5 ◯保健福祉部長(松田典久君)県こども総合療育センターの受診待機期間、受診者数の状況等についてでございます。  県こども総合療育センターの平成二十四年十二月末における初診の待機者数は三百九十九人で、約六カ月の待機となっております。  なお、初診までの待機期間につきましては、平成二十二年度末の約六カ月が平成二十三年度末は約四カ月となりましたが、今年度は、予約件数の増加等により平成二十三年度末より長くなっております。  平成二十四年十二月末における平成二十四年度の利用者数につきましては、鹿児島市民が初診三百二十二人、療育指導千八百二十九人、相談七百二十二人であり、鹿児島市以外の地域の方が初診二百三十二人、療育指導二百五十五人、相談千二百十八人であります。鹿児島市民の占める割合といたしましては、初診約六割、療育指導約九割、相談約四割となっております。  鹿児島市独自の発達支援施設の設置に係る市議会への陳情についてでございます。  平成二十四年六月に鹿児島市議会に提出された陳情書によりますと、陳情の趣旨としましては、前回の陳情と同様に、相談・医療・訓練・療育の機能があり、ゼロ歳から十八歳まで対応できる鹿児島市独自の子育て・発達支援センターの設置を求めるものであります。  今回は、陳情の趣旨として新たに、九州内では佐賀県、大分県及び本県以外は、県・市両方が公的な発達支援センターを設置していること、県こども総合療育センターの利用者が非常に多く、鹿児島市民の利用が六割を占めていること、鹿児島市内には毎日通園できる場所や支援体制が乏しいことなどが記載されており、これらの状況が、県こども総合療育センター設置後に再度陳情書が提出されている理由ではないかと考えております。  改正児童福祉法施行後の障害児支援の状況等についてでございます。  障害のある児童が身近な地域で適切な支援を受けられることを目的に改正されました児童福祉法の趣旨や内容につきましては、これまで、国の通知の送付や説明会等を通じまして、市町村や児童発達支援事業所等に周知してきたところであります。  地域における障害児のための支援施設の整備状況につきましては、本年三月一日現在、中核的な療育支援施設である児童発達支援センターが四市で七事業所、身近な療育の場としましては、未就学児を対象とした児童発達支援事業所が二十四市町で六十二事業所、就学児を対象とした放課後等デイサービス事業所が二十四市町で七十四事業所設置されており、医療の提供を行う児童発達支援センターを設置している市町村は、本県にはございません。  近年、発達障害児に対する支援ニーズが急速に顕在化していることなどを背景に、伊佐市などでは、地域の拠点となる療育施設を中心とした療育支援体制のもと、県こども総合療育センターとも連携しながら、早期からの支援に積極的に取り組んでいるところであります。  しかし、地域療育支援体制の取り組みにつきましては、市町村間で差があり、また、地域の療育機関のネットワーク機能や教育機関との連携が不十分であることなどが課題となっております。  このようなことから、県こども総合療育センターにおいては、障害児が可能な限り身近な場所において療育を受けられるよう、これまでも市町村職員や地域の療育関係者、教育関係者等に対する研修や助言指導を行ってきたところであります。  県といたしましては、今後とも、市町村における地域療育支援体制の整備を促進するとともに、県こども総合療育センターと地域の療育機関、教育機関等との一層の連携強化に努めてまいりたいと考えております。  障害児支援に係る県と鹿児島市の意見交換についてでございます。  県としましては、全ての障害児やその家族が県内のどこに住んでいても身近な地域で相談や支援が受けられるよう、各市町村が身近な療育の場である地域の療育施設等と連携して、早期から個々の障害児に応じた継続的な支援を行う体制が必要であると考えております。  このような考えのもと、鹿児島市における障害児の療育支援につきましても、相互の機能分担、機能連携に係る意見交換を行うなどして、鹿児島市における地域療育支援体制の整備を支援してまいりたいと考えております。 6 ◯企画部長(稲原 浩君)県と鹿児島市の連携についてでございます。  知事と鹿児島市長は、県市共通の政策課題の中からテーマを設定し、毎年定期的に意見交換を行っております。また、知事、市長間の意見交換のほかにも、両者の幹部職員の間でも双方が会して協議する必要がある場合には、各政策課題に応じ、協議を行っております。 7 ◯総務部長(布袋嘉之君)県と市町村の連携についてでございます。  県政の円滑な推進に当たっては、住民に最も身近な行政を担っている市町村と一体となって取り組むことが極めて重要であると考えております。このため、知事と市町村長との意見交換会を定期的に開催し、地方行財政のあり方や地域振興策など、県と市町村が直面する課題について、知事と市町村長が直接意見を交換し、力を合わせて課題解決に当たることとしております。  また、地域振興局・支庁においては、管内の市町村長と局長・支庁長等による地域行政懇話会を開催し、地域の課題や市町村の重点施策等の的確な把握に努めながら、地域特性や住民ニーズに即した総合的な行政を推進してきているところです。  今後とも、市町村と十分連携を図りながら、県政の推進に努めてまいります。 8 ◯ふくし山ノブスケ君 自席からお尋ねさせていただきたいと思います。  松田部長にお尋ねいたしますけれども、療育センターの現状はなかなか改善されていないというのが今の答弁からわかるわけですけれども、その状況についての見解。そしてさらには、現在の状況を解消するために、いつを目標にしてやっておられるのか。さらには、鹿児島市との協議、直ちにやられるお考えがあるのかどうか。  以上、お聞かせいただきたいと思います。 9 ◯保健福祉部長(松田典久君)ただいま御質問がございました、総合療育センターについての件でございますが、先ほど申し上げましたけれども、当初の初診の待機の期間、これにつきましては、確かに六カ月ということで、一時的に、四カ月でございましたけれども、六カ月になっておりますが、これにつきましては、スタッフの確保とか、中における職員のスキルアップ等によって今、努力しておるところでございます。  そういう中で、引き続き県といたしましては、総合センターの機能のさらなるアップのために努力してまいりたいと考えております。  まず、この総合療育センターの機能がさらに充実したものとなるためにはやはり、先ほども申し上げましたが、地域においての地域療育体制ですね、これが整備され、そしてまず地域において身近なところで継続的にされ、その中で特に必要な方について総合療育センターのほうで、お越しいただいて専門的な診断を受けていただくということが望ましいと考えておりますので、今後とも、センターと、そしてあわせて地域における療育支援体制の整備について努めてまいりたいと思っております。    [ふくし山ノブスケ君登壇] 10 ◯ふくし山ノブスケ君 それぞれ御答弁いただきましたが、障害児の支援につきましては、やっぱり一定の解決の目標をしっかりと定めて取り組んでいただきますように、重ねてお願いを申し上げておきます。  さて、市電観光路線、こども総合療育センターについて答弁いただきました。  これらの件は、解決すべき大事な当面の課題だと思っています。  障害児支援については、障害児や保護者、家族にとって、県であれ市であれ、解決しさえすればいいわけであります。ですから、県・市の緊密な連携が課題の解決に大きな前進をもたらすと考えますので、御努力をお願い申し上げます。  今後、桜島横断ネットワークの問題など、さまざまにお互いに協議しなければならない課題も出てまいります。双方にメリットがもたらされるようにお願い申し上げます。  知事といたしましても、担当部署に御指示いただくとともに、みずからもトップ同士の意見交換、適宜適切に行われることをお願い申し上げておきたいと思います。  新しい質問に入ります。  奄美が真に自立の歩みを進めるための重要な一年であります。  「奄美群島日本復帰六十周年、問われるのは自立への戦略」、「『奄美・琉球』世界自然遺産暫定リスト入り、登録実現へなお課題」、「奄振法の延長・改正、チャレンジ、価値ある島の創造へ、夢の持てる事業を」、今、奄美が脚光を浴びています。  昨年夏、奄美の地元紙が、かつて鹿児島国際大学教授であった山下欣一氏の著書の一部を紹介しています。「終戦から日本復帰までの苦闘と貧苦の時代こそ、奄美人に『奄美』とは何かを考えさせたことはあるまい。そして、有史以来初めて奄美の人々は、『奄美』という統一概念を実感として確認できたのであり、奄美から寄留商人、役人が退去し、全てが奄美の人々の手に戻ってきた時代でもあった」と。そして、断食という手法で復帰運動を闘い抜いたのであります。それは、内面性の自立によるところが大きいとも分析しています。  日本復帰の翌年に復興特別措置法が施行され、その後、振興、振興開発と時代とともに少しずつ変化しながら各種整備を進めてまいりました。奄振事業のもと住民の暮らしは大きく変化しましたが、一方で、人口の減少や開発による自然環境の変化等で奄美本来の活力は失われてきた部分も少なくありません。  今、問われているのは、補助金依存体質から抜け出せずにいるとの批判を払拭するためにも、奄美の真の自立に向け、奄美のあるべき姿を明確にすることだと考えます。国への依存ではない、自立のための支援をしっかりと確保し、群島民が一丸となって奄美らしさを大事にしながら、新しい奄美を創造していく歩を進めなくてはなりません。  そのためには、復帰後の六十年間の奄振事業の総括が必要であります。この六十年間で奄美の何が変わったのか、そこから見える課題は何か、お示しいただきたいと思います。  奄美群島振興開発総合調査報告書原案は、所得水準など諸格差の存在等から、奄振特措法による支援が必要不可欠としています。今後の方向については、定住促進として、農業、観光、情報通信産業の振興を、交流拡大には奄美ならではの自然、文化等の地域資源の活用、世界自然遺産登録に向けた施策の展開を図ること、また、運賃、輸送コストの軽減や物価格差の解消、防災及び国土保全など奄美が抱える条件不利性の改善、医療体制など群島の生活基盤の確保・充実を図ることとしています。  奄振法の改正・延長に当たっては、大きな課題となっているこれらを何としても実現できる内容としなければなりません。今後の取り組みと決意を伺います。  奄美・琉球の世界自然遺産登録に向けての取り組み、奄振事業の活用等について伺います。  奄美・琉球がユネスコへの政府推薦の前提となる暫定リストに掲載され、国内の正式な候補地となったことで、自然遺産登録に向けて大きな一歩を踏み出しました。保存管理のあり方など、沖縄県との連携を図ると同時に、本県としての課題にしっかり取り組んでいかなければなりません。  ユネスコへの推薦書提出二〇一五年まで、国立公園指定、外来種への対応など早急に対応しなくてはならない課題が山積していますが、何といっても奄美の貴重な自然の存在、それを守る担い手である住民の意識の向上、醸成が重要であります。  これまで、国立公園化への取り組みとして、徳之島への環境省奄美自然保護官事務所の開設や希少動植物の違法採取、捕獲等への対策として、徳之島三町では、希少野生動物保護条例を施行するなどの対応がなされていますが、なお、自然保護・環境への認識・理解不足からくる自然破壊行為も少なくないようであります。  国立公園化に向けての取り組みについては、知事も、民有地があり、調整等々現実的な課題があるとの認識を述べておられますが、この間の基礎的調査の進捗状況と今後の課題についてお示しください。  外来種問題は、希少野生動植物に被害をもたらし、生態系も損なうおそれがあります。マングースを初め、解決すべき外来種動植物についての課題は何か。これまでの取り組みと成果、あわせて今後の取り組みについてもお示しいただきたいと思います。  私もこの一年の間に何度か奄美を訪問していますが、世界自然遺産が話題となることはほとんどありません。現在、その機運を高めるさまざまな取り組みがなされていますが、さらなる努力が必要です。大人はもちろんですが、子供たちの理解を深めることは、大人の意識を変えるなど大きな効果をもたらすと考えます。教育現場での取り組み状況はどうか。また、今後はどのように取り組んでいかれるつもりかお聞かせください。  屋久島が世界自然遺産登録から二十年の節目を迎えますが、奄美・琉球の自然遺産登録に当たって、屋久島の二十年の何を教訓とするかが問われます。世界遺産登録によって屋久島にもたらされた影響の特徴的なものを示し、奄美の登録に向けてそれらをどのように生かしていくつもりか、見解をお聞かせください。  奄美については、縄文杉のようにシンボリックなものがある屋久島と異なり、その魅力を伝えるには相当な工夫が求められると思います。猛毒を持つハブ対策も必要です。観光ルートづくりや観光地において魅力を伝える手法を考えなくてはなりません。ガイドの力量も求められます。どのように対応していくのかお示しください。  知事は、記者会見で、「鹿児島に二つの世界自然遺産があるというのは大変ありがたい。また、沖縄の西表島までのクルーズであれば非常におもしろい旅になるのかと思うので、そういう点も含めて新しい仕組みづくりが必要かなと思う」と述べておられます。同感であります。
     屋久島・奄美を周遊できる環境整備と同時に、関西や関東などの観光客の誘導についても戦略を考えておかなければなりません。一朝一夕にはいかない問題でありますので、将来を見据えた対応が必要だと思います。  今、三菱航空機株式会社が開発を進めている次世代の最初のリージョナル機─MRJ機─が注目を集めています。競合機と比べ、燃費が二、三割減、CO2やNOXの排出が少ない、離着陸に最大で千四百九十メートルの滑走路の長さがあれば可能であるということであります。平成二十九年半ばごろからの納入計画で、既に米スカイウェスト社と百機、さらにオプション百機の契約を締結しているようであります。  この件は奄振の活用にもかかわりますが、関西や関東など各方面からの観光客を誘導するためには、当然、住民理解が前提となりますが、離島空港の滑走路の延長など、空港整備も検討すべきだと思います。見解を伺います。  奄振六十年を機に、奄美学を学ぶ高等教育の拠点づくりも必要ではないかと考えます。本県は幸いにも県立短期大学を設置しております。以前は、県立短期大学を四年生大学へ移行してはどうかという声もありましたが、現在、残念ながらそのような検討はなされていないようです。しかし、今や、大学や短大は生き残り策を懸命に模索をしています。今回の奄振計画の中に、県立短大の講座を奄美で開講することで県立短大の魅力も高まると思いますので、検討してはどうでしょうか。毎年、高校の卒業生のほとんどが島外に流出している実態からも必要だと考えます。  県立短大では、地域研究所において奄美の研究実績を積み上げてきています。奄美は、長寿・子宝でも知られており、希少動植物の存在など、今後の社会のありようを示唆する研究材料も豊富にあります。まずは公開講座の設置などで対応し、将来は奄美学科の設置で、奄美の経済や文化を地元で担う人材育成の拠点とすべきであります。  県教育振興計画では、これからの県立短大の施策の方向性として、「国際化、情報化など時代の要請に対応するとともに、地域社会に貢献できる人材育成を目指した教育内容の充実などを図り、魅力ある県立短期大学づくりを推進します」とうたっています。奄美が大きな変革の時を迎えている今こそ、取り組むべき課題だと思いますので、見解を伺います。  いじめ・体罰の実態と対策について伺います。  文部科学省が、大津市の中学生自殺を受けて、昨年八月下旬から九月初めに実施したいじめの問題に関する緊急調査の結果によりますと、本県におけるいじめの認知件数は三万七百五十七件で、五・七人に一人の割合となっています。このうち九月十四日現在、二万六千七百二十五件が解決済みで、未解決が四千三十二件と報告されました。  県の教育委員会では、今回の調査で、いじめの早期解決を目指し、軽微な事案も報告してもらったとされており、積極的にいじめを把握、解消に努めようとする姿勢を評価するものであります。  県教委では、今回の調査を踏まえ、庁内に昨年十月、いじめ問題対応チームを設置し、専門的な知見を得ながら各学校現場への支援体制を充実するとともに、未解消件数の四千三十二件に対しては、三学期に向け、各学校別に対応するとのことでありました。  まず、いじめ問題対応チームの組織内容と、特に、今回の緊急調査を踏まえて取り組む学校現場への具体的支援体制についてお示しください。  また、未解決の事案については、どのような取り組みがなされているのか。学校だけで対応が難しい事案に関しては、関係機関や外部の人材と連携して対応するとされていましたが、これら未解消事案への取り組みの現状と、その結果はどのようになっているのか、伺います。  今回の調査では、児童生徒への無記名アンケート様式の設問には「誰から、どのようないじめを受けたか」との項目があり、同級生・上級生などとともに、先生からというのも入っています。現在、学校現場におけるいじめや体罰事案が大きな問題になっており、先生からいじめがあるとすれば、迅速かつ適切な対応が求められます。  先生からのいじめの件数とともに、これに対してどのような対応がとられたのか、その結果はどうであったのか、明らかにしてください。  大阪市立桜宮高校で体罰によって高校生が自殺するという痛ましい事件が起きたことを受け、文部科学省は体罰に係る実態調査を行うことになりました。対象は、平成二十四年四月一日以降、授業や生徒指導、部活動などで発生した体罰であり、鹿児島県は、教職員だけでなく、児童生徒や保護者にも調査票が配布されることになっています。  今回の調査対象期間以前の体罰について、県教委としてはどのように把握されているのか。過去五年間の年度別の件数と懲戒処分などの実態についてお示しください。  大津市立中学校の男子生徒が自殺した問題を調査してきた市の第三者委員会の報告書は、いじめが自殺の直接的要因となったと断定し、自殺直後の学校や教育委員会の対応を厳しく批判しています。学校による調査は、責任を逃れようと組織防衛に走りがちで、事実の究明も甘くなり、遺族が不信感を抱くとたびたび指摘されてきました。  そこで、児童生徒や保護者によるいじめや体罰などの被害救済の訴えに対して、迅速・公正・客観的な調査ができるように、外部の学識経験者や弁護士などで構成する第三者の調査委員会を常設しておく必要があると思いますが、見解を伺います。  さて、私自身も以前は、例えば信頼関係があるかないかによって体罰と言われることもあればそうでないこともある。つまり、信頼関係の有無が問題なのではないかと思っていた時期もありました。そして、我が国において体罰は伝統的なもので、容認論を完全に払拭できないのではないかとも考えていました。  そんなときに、ある中学校の校長先生から一冊の本を紹介されました。それは、一九八九年に発行された、当時、宮城教育大学助教授だった江森一郎氏の著書「体罰の社会史」であります。  今日、知られている我が国最初の体罰否定論者は、天台宗の開祖、最澄であり、江戸時代に一般的となる体罰忌避の感覚の先駆となっていると考えられること、日本に来た外国人、例えば一六二〇年ごろのイエズス会士ルイス・フロイスや幕末のシーボルト、イギリス外交官のオールコックなどは、日本では子供に対する体罰がほとんど行われないことを書き記していること。  明治十二年に制定された教育令には体罰禁止規定が明文化されており、学校体罰法禁の西欧最先進国であるフランスより八年も早い。それは伝統思想の中に、国民のエートス─性格や習性─として、体罰を残酷と見る見方が定着している。体罰が肯定されるようになるのは日露戦争前後が一つの節目で、体罰の乱用に決定的影響を与えたのは帝国陸海軍の教育方法で、軍隊が教育の場のモデルとなった。明治以降、体罰が肯定されるようになったのは、体罰が当然視されている欧米の影響もあるのではないか。  そのようなことから考えると、「子供には厳しくするほうがいいという考えは、もともと日本の伝統とは違うんだということを知るべきだと思う」といった内容の本であります。  体罰は、そもそも我が国の伝統にはないという指摘を踏まえ、決して体罰を容認することなく、体罰によらない教育が可能であるということを皆がひとしく認識することが重要だと考えます。そのような観点から取り組みが必要だと思いますが、見解をお聞かせください。  昨年からことしにかけて、体罰問題に関し、さまざまな立場の方々が発言しています。幾つか紹介いたします。  スポーツ評論家の玉木正之氏、「適度の体罰は有効、愛情ある体罰は許されるなどという声がやまないのは、何と貧困な想像力か。そもそもスポーツとは、暴力的な勝負をルール化し、ゲーム化した遊びである。根源的に一切の暴力を否定し、殺すなという平和のメッセージを含む、人類が生んだ偉大な文化と言えるのだ」。  鹿屋体育大学名誉教授の宮田和信氏、「指導者としてわきまえる必要があるのは、体罰が法律違反である。人間が人間をたたくことは人権侵害である。言葉で指導すべきだ。体罰による教示は動物の調教に等しい。時代に合わせた科学的な指導方法を用いる。競技会や研修会等で研さんする機会を持つといったことではないか。国語や英語、音楽がふできだからといって、指導者はすぐにたたくだろうか。スポーツはそんなに低次元の文化だろうか。スポーツが世界中に広まり、国家間の友好のかけ橋になったり、平和外交の手段になったりすることは多くの人が認めているはずである」。  文芸評論家の斉藤美奈子氏、「谷川弥一文部科学副大臣は昨年十二月に、『いじめ問題では、学校に怖い人、武道家がいるほうがいい。一番いいのはボクシング、空手、プロレスも。いなかったら警察のOB』と発言しました。このような認識が体罰をはびこらせる。おどしの奨励である上、格闘技への誤解も甚だしい」。  以上、教育長はお聞きになってどのような感想をお持ちになったでしょうか。いまだに残る体罰容認論に対する見解、今後の体罰防止に対する取り組みへの決意もあわせてお聞かせください。  以上で、二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 11 ◯知事(伊藤祐一郎君)奄振法の延長についてのお尋ねであります。  奄美群島におきましては、日本復帰以降、特別措置法に基づきまして、総額約二兆二千億円の事業費により社会資本の整備が進められるなど、その基礎条件の改善が進みつつある一方で、急速に進む人口減少や高齢化による地域活力の低下といった問題に直面しているところであります。  このような問題を解決いたしますためには、定住促進や交流の拡大、群島が抱える条件不利性の改善等の取り組みを進める必要があり、このため、奄振法を延長した上で、人の往来、物資の輸送に要する費用の低廉化などに活用できる新たな交付金制度の創設を含めた諸般の振興開発の取り組みが必要になると考えているところであります。  このため、今後、調査報告書を取りまとめた上で、奄美群島振興開発審議会に提出し、その内容が法改正等に十分に反映されますよう、県選出の国会議員や県議会の皆様方と一体となって国に働きかけてまいりたいと考えております。 12 ◯環境林務部長(新川龍郎君)世界遺産登録に向けた国立公園化の取り組みについてでございます。  国立公園の指定に向けましては、平成十五年度からは県において、平成二十一年度からは環境省において、奄美群島の希少野生生物の分布等の調査や観光利用の実態調査などを行い、指定に必要な基礎的な情報を取りまとめてきたところでございます。  環境省においては、これらの結果や県、市町村の意見を踏まえながら、公園区域や公園計画の案の作成を進めているところであり、昨年からは奄美群島内の各地で地元への説明会の開催などに取り組んでいるところでございます。  国立公園の指定には、地元住民や関係者の理解と協力が必要であり、また、指定後の適正な保護と利用の推進のためには、自然環境保全と林業との共存が図られる森林施業の基準づくりや、自然と親しむための利用施設計画の検討なども必要でありますことから、今後とも、環境省や地元市町村など関係機関と十分連携を図りながら、こうした課題に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、外来動植物対策についてでございます。  マングースを初めとする外来動植物は、希少野生動植物にとって大きな脅威であるため、国、県、市町村等で構成する希少野生生物保護対策協議会で情報共有を図りながら、さまざまな対策に取り組んでいるところでございます。  特に、マングースにつきましては、環境省が外来生物法に基づく防除を進めた結果、最多時六千頭以上であった推定生息数が平成二十三年度には三百頭以下に減少し、現在、低密度化したマングースを捕獲するため、マングース探索犬を導入するなどして、平成三十四年度の完全排除を目標に防除に取り組んでいるところでございます。  このほかも、野猫対策や野ヤギ、オオキンケイギクの防除が行政機関やボランティアによって行われており、県といたしましては、こうした取り組みを促進するとともに、地域住民への外来動植物問題の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。  次に、屋久島の世界遺産登録による影響等についてでございます。  平成五年の世界遺産登録は、屋久島のブランド力の向上や観光客の増加、人口減少防止などの効果をもたらした一方で、山岳部での利用者の集中などの問題を生じさせております。具体的には、経済面では、観光客の増加が宿泊、運輸などの観光産業の発展と就業機会の確保をもたらしており、県内の離島人口がこの二十年間に約一七%減少したのに対し、屋久島町ではこの間、一万三千人台を維持しており、世界遺産登録が人口減少の防止に役立っているものと考えております。一方で、環境面では、山岳部での利用集中による植生荒廃や、し尿処理等の課題が発生しており、国、県、市町村、関係団体が連携して、さまざまな取り組みを行ってきているところでございます。  奄美群島の世界遺産登録に向けましては、屋久島の登録で得た経験を踏まえて、世界遺産登録が地域にもたらすメリットを最大化しつつ、自然環境への負荷を増大させないための取り組みが必要であります。  このため、来年度からは登録後の観光客増加を想定した自然環境への影響予測や過剰利用の未然防止対策の検討を行うこととしております。 13 ◯教育長(六反省一君)世界自然遺産登録に向けた学校の取り組みについてでございます。  奄美群島が世界自然遺産に登録され、その後も地域環境が保全されるためには、児童生徒が身近な地域の自然のすばらしさや希少性に気づき、奄美の自然を人類共有の財産として保護していこうとする態度を育てることが重要であると考えております。  現在、地区内の小・中学校がリュウキュウアユやマングローブ、オオゴマダラ等の希少な野生動植物等を選定し、調査、観察、飼育、栽培などの活動を行いますとともに、県が作成いたしました希少野生生物保護のパンフレットを活用した学習や、世界自然遺産登録を目指して地域が主体的に行っております清掃活動への参加など、多様な環境教育が展開されているところでございます。  また、高校におきましては、奄美の動植物や世界自然遺産登録の意義について地元の専門家の講演を聞いたり、奄美群島などに見られる固有種の植物を生物の授業で取り上げるなどの活動が行われております。  県教委といたしましては、今後とも、これらの取り組みを通じ、児童生徒にふるさとの貴重な自然についての理解と、それを守ろうとする意識を高めますとともに、世界自然遺産登録に向けた機運の醸成にも努めてまいりたいと考えております。  いじめ問題対応チームについてでございます。  平成二十四年十月に設置いたしました「いじめ問題対応チーム」は、県立学校及び市町村教育委員会の要請に応じ、いじめの問題に係る事案について、各学校等への支援を行うもので、その構成メンバーは、生徒指導監を中心に、県教育委員会関係各課の生徒指導担当指導主事や臨床心理相談員、総合教育センターの教育相談担当職員等の十四人でございます。  このチームは、各学校の取り組みにもかかわらず、いじめの問題が深刻化し、解消困難であると思われる場合などに、学校や市町村教育委員会の要請を受けて、直接県教委からメンバーを派遣して、いじめを受けている児童生徒の心のケアや学校の支援体制についての指導助言など、専門的でより迅速な支援を行うものでございます。昨年十月の設置以降、小学校一校、高等学校二校を支援しているところでございます。  いじめの未解決事案への取り組みについてでございます。  昨年九月のいじめの緊急調査の後、各学校においては、具体的ないじめの事例を取り上げ、実際自分がいじめられる立場になったらどう感じるかなどを児童生徒に考えさせるなど、いじめの再発防止に向けた取り組みを改めて展開したところでございます。  また、未解消事案については、軽微なものを含めて学校全体で情報を共有し、実情に応じた対応を行いますとともに、スクールカウンセラー等の活用や関係機関等との緊密な連携を図るなど、総合的な取り組みを行い、解消に努めてきたところでございます。  昨年九月に約四千件ございました未解消事案につきましては、ことし二月時点の状況を確認いたしましたところ、三千八百九十三件が解消したものの、依然百三十九件が解消に至っていないところでございます。  県教委といたしましては、これらの事案の早期解消に向け、各学校や市町村教育委員会と連携し、関係機関や外部人材を活用しながら、必要な支援・指導を行ってまいります。  先生からのいじめへの対応と結果についてでございます。  昨年九月のいじめの緊急調査で把握いたしました約三万件のいじめのうち、いじめの態様で「誰からのいじめか」の問いについて、「先生から」と回答したものについて個別に確認を行いましたところ、九十六件でございました。各学校においては、管理職が中心になって児童生徒及び教職員に確認を行い、教師側の意図が正確に伝わらず、いじめと受け取っている場合には、丁寧な説明によりその解消に努めますとともに、教職員に対しては、児童生徒一人一人に配慮した言動を行うよう個別指導をいたしました。また、校内研修の場でも教職員全体で事例研修を行ったところでございます。  そうした取り組みの結果、ことし二月の時点では、教職員からのいじめについては全て解消しているという報告を受けているところでございます。  体罰の処分の実態についてでございます。  県内の公立学校における体罰の件数は、平成十九年度八件、平成二十年度五件、平成二十一年度六件、平成二十二年度八件、平成二十三年度十三件の計四十件でございます。このうち懲戒処分を行ったものは、平成十九年度から二十一年度まではゼロ件、平成二十二年度は懲戒減給一月間の処分が一件、平成二十三年度は懲戒戒告の処分が一件であり、これら以外のものは訓告等の措置を行ったものでございます。  第三者委員会の常設についてでございます。  児童生徒や保護者からのいじめや体罰などの訴えがあった場合は、これまで学校において保護者とも連携しながら、スクールカウンセラーや関係機関等の支援を受け、客観的な実態把握や適正かつ厳正な対応に努めてきたところであり、そうした学校における対応で解決できない案件については、教育委員会が公正・客観的な対応を行う立場にあるものと考えております。  ただ、県外における昨今の教育委員会の対応状況を踏まえますと、教育委員会が必要に応じて外部の専門家を活用し、より公正性や客観性を高める取り組みが求められているのではないかと考えております。  なお、第三者の調査委員会を県教委に常設することにつきましては、市町村立の学校への調査権限など法的な課題がありますこと、また、教育再生実行会議の第一次提言において、学校に通報してもなお解決されない重大な事案の場合には、第三者的な組織がその解決を図ることが提言され、法案提出の動きがあることなどを踏まえますと、今後、国の動向を注視してまいる必要があるものと考えております。  体罰によらない教育に向けた取り組みについてでございます。  体罰については、学校教育法において「体罰を加えることはできない」と規定されているとおり、いかなる場合においても行ってはならないものであると考えます。教職員が体罰を厳しい指導と正当化することは誤りであるということを十分に認識し、児童生徒の学ぶ意欲を喚起し、学ぶ楽しさを実感できる学習指導や生徒指導などの指導力を教職員が身につけることにより、体罰によらない教育活動が展開されることになるものと考えております。  県教委としては、各種研修を充実させますとともに、各学校においても、管理職等が授業や部活動を巡回して指導・助言を行うこと、校内研修を充実させることなどを通して、教職員の指導力の向上が図られるよう引き続き努めてまいります。  体罰防止に対する決意についてでございます。  体罰に関するさまざまな考え方をお伺いいたしました。  人が人をたたくことは人権侵害である。時代に合わせた科学的な指導方法について研さんする機会が必要であるということなど、まさにそのとおりだと感じたところでございます。体罰による指導では、児童生徒が正常な倫理観を養うことはできず、むしろ力による解決への志向を助長させ、いじめや暴力行為などの土壌を生むおそれがあると考えており、いかなる場合においても体罰による指導はあってはならないものと考えます。  本県の全ての教職員が愛情を持って児童生徒に接しますとともに、児童生徒や保護者との信頼関係を築き、その関係の上に立って、褒めるべきときは褒め、叱るべきときは叱るなど、時機を失することなく、心に響く指導が行われ、体罰のない教育活動が展開されるよう全力で取り組んでまいります。 14 ◯観光交流局長(福壽 浩君)奄美の世界遺産登録に向けた観光ルート等についてでございます。  奄美群島の自然環境は極めて多様で、固有性の高い亜熱帯生態系やサンゴ礁生態系を有している点や、多くの絶滅危惧種の生息地となっている点などが高く評価され、世界自然遺産の登録候補地となっております。  これまでも、奄美自然観察の森や金作原原生林、マングローブ林など、奄美大島の森林部を中心に希少動植物の観察やナイトツアー、カヌー体験など、さまざまなエコツアーが実施されてきているところでございますけれども、世界遺産登録の動きに伴いまして、観光客の増加が想定されております。  このため、環境林務部長の答弁にありましたように、来年度から、過剰利用の未然防止対策として、観光客の分散化や利用集中の抑制のための措置などを検討しますとともに、国、県、市町村、関係団体で構成しますエコツーリズム推進協議会におきまして、認定ガイド制度の導入に向けて取り組むこととされております。こうした取り組みも踏まえながら、観光地づくりや観光ルート化を図るなど、奄美の観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。 15 ◯土木部長(栗原淳一君)離島空港の滑走路延長についてです。  離島空港は、住民の生活を支えるとともに、観光・産業など離島の振興、発展を図る上からも極めて重要な社会基盤であると考えております。  空港のジェット化に伴う滑走路延長については、航空旅客の需要の動向や航空会社における将来の航空機種の見通しなどのほか、地元におけるジェット化についてのコンセンサスを得ることが必要であると考えております。県としては、これらの動向を見ながら検討してまいりたいと考えております。 16 ◯総務部長(布袋嘉之君)県立短期大学の奄美での公開講座についてでございます。  県立短期大学では、附属機関である地域研究所において、地域の諸問題に関し、人文、社会、自然の各領域にわたる研究・調査を行っており、その成果として、奄美地域における産業や社会などをテーマにした論文等も発表してきております。  また、地域に根差した短期大学づくりにも取り組んでおり、学内の施設を利用して教育研究の成果等を広く公開するため、一般の方々を対象に公開講座を実施してきているところでございます。  奄美地域での公開講座の実施については、開催の時期や教員の確保、テーマの選定などさまざまな課題がございますが、県立短期大学においては、今後その実施について検討したいとしているところでございます。 17 ◯議長(金子万寿夫君)ちょっと待ってください。答弁漏れがあるようです。 18 ◯保健福祉部長(松田典久君)先ほど鹿児島市との協議の時期につきましてお尋ねございましたけれども、答弁の漏れがございました。  今後、鹿児島市と調整の上、なるべく早い時期に協議の機会を持ちたいと考えております。    [ふくし山ノブスケ君登壇] 19 ◯ふくし山ノブスケ君 それぞれ御答弁いただきまして、ありがとうございました。  実は、先ほどお断りすべきでございましたけれども、通告してありました犯罪被害者等支援の件につきましては、時間の関係で割愛させていただきますので御了承いただきたいと思います。  さて、誤解のないように知事にも申し上げたいと思いますが、私は、本日の質問に当たって、森鹿児島市長と話をしたわけでもありません。また、私自身は、知事、市長のどちらの味方というわけでもありません。しかし、市議会に十五年在籍していたこと、また、県民でもありますけれども、鹿児島市民であることから、若干鹿児島市にエールを送る気持ちのほうが上回っているかもしれません。しかし、県議会で伊藤知事の施策への取り組みや答弁をお聞きしていますと、伊藤知事だからこそ厳しい県財政をここまで立て直せたのだろうと思いますし、見解は異なっても、なるほどと思わせる発言には敬意を表しています。  そのような知事ですから、森市長は、中学・高校の同窓生でもございますので、兄貴分として、鹿児島県の屋台骨である鹿児島市でございますから、さまざまな県政・市政の課題について胸襟を開いて語り合う機会をぜひ今後もお持ちいただくようにお願い申し上げたいと思います。  新年度は、大変重要な課題が山積しています。知事を初め執行部の御努力をお願い申し上げますとともに、私自身も、県民の暮らしの向上のために全力を尽くすことをお約束を申し上げ、本日の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 20 ◯議長(金子万寿夫君)次は、藤崎剛君に発言を許可いたします。    [藤崎 剛君登壇](拍手) 21 ◯藤崎 剛君 自民党県議団の藤崎剛でございます。第一回定例会に当たりまして、質問させていただきます。
     かねてから、書店に行くたびにたくさん本を買って読んでいるんですが、先日、「鹿児島学」という本を読ませていただきました。県民性の研究をしている方の本でございます。この本の中で、鹿児島をいろいろな形容詞で表現しています。広い鹿児島、やさしい鹿児島、意外な鹿児島、かたい鹿児島、奥が深い鹿児島、ひと味違う鹿児島。どれも確かにそうだなと思いますが、私は結論としまして「したたかな鹿児島」を目指すべきだと考えているところであります。本日はこの「したたかな鹿児島」をテーマに質問してまいります。  さて、NHKの大河ドラマ誘致で島津義弘の名前が出ておりますが、関ヶ原の戦いで負けておきながら鹿児島の本領を安堵された事実。それから、幕末は財政難であったものの、調所広郷が立て直して財政改革をなし遂げた上に、明治維新をなし遂げた鹿児島。いずれも、したたかな鹿児島の一つの象徴であるかと思います。  さらに私は、そんな鹿児島のしたたかな一面を具体的にのぞかせる古文書に出くわしました。曽於市大隅町に伝わる海江田文書「他国人挨拶記」と山口文書「於諸所御答可申上太概覚」の二つであります。この二つの文書、他国の人が訪れたときに当時の薩摩藩のことを説明するためにつくられました、いわば説明書、マニュアルであります。  この二つの文書、何が違うかといいますと、説明する対象が違うのであります。前者は「他国から来た人一般」、後者は「幕府からの上使」であります。他国から来た人にせよ、幕府からの上使にせよ、鹿児島の民情視察に来ているわけであります。何かちょっとしたとがを見つけ、それを幕府に報告され、それをもとに薩摩藩が潰されるかもしれないという緊張ある関係でもありました。そのため、下手に情報を漏らさず薩摩藩を守るためにつくられたものかと思います。  この中に想定問答があります。内容は、取り締まり、年貢、百姓の生活、税、両替、キリシタン、一向宗のこと、焼酎のことなど多岐にわたります。鹿児島が貿易で資金を確保していた琉球につきましては、こうなっています。「琉球の儀、これお尋ねの者そうらえば、私どもいさい存ぜず申しそうろう。聞きたくおぼしめしそうらわば、御用役人にお尋ねなるべきのよし、申し上げそうろう」。要は知りませんよと、しらを切るように指導してあります。なかなか先人たちもしたたかでありました。そんな鹿児島の先人に思いをはせつつ質問してまいります。  まず、コンビニの公共性と諸課題についてお尋ねいたします。  おととしの東日本大震災の際に存在感が一躍高まったのが、コンビニエンスストアであります。首都圏も帰宅困難者が路上にあふれ町は大渋滞になり、コンビニがトイレを貸したり安否確認の拠点となりました。各コンビニチェーンは、帰宅困難者のサポートから、迅速な救援物資の確保、他県の製造工場をフル回転させて被災地への商品供給、義援金の募集とその能力を遺憾なく発揮し、社会インフラとしてのコンビニは広く国民に認識されました。経済産業省の公的インフラの拠点数調べでは、平成に入ったころから全国に六万カ所あったガソリンスタンド、五万ヵ所あった金融機関は減り始め、今では金融機関は三万六千ヵ所ほど、二万五千あった郵便局、一万五千カ所あった交番・駐在所も減っております。ガソリンスタンドはコンビニと同数の四万六千カ所余りにまで減っております。  社会インフラとしてのコンビニエンスストアのあり方研究会で、コンビニが補完する機能としての五つの機能が挙げられました。一つ目がATM・公共料金の納付サービス、二つ目が郵便投函・小包宅配受け付け・受け取りの部分、三つ目がまちの防犯機能、四つ目が住民票等の行政サービス機能、五つ目が、将来的ですが電気自動車の充電機能などと整理されています。一から三までは定着した感があるかと思います。  さて、ここで質問ですが、現在、警察本部で把握している鹿児島県内のコンビニの数についてお示しください。  県では、コンビニが担っている社会インフラの機能を評価した上で、十八年から払う側の行動特性に注目して自動車税のコンビニ納付などを行っています。さらに、十九年からは包括連携協定を結んでいると聞いていますが、コンビニとの協定内容についてお示しください。また、その協定に基づき実施された事業の事例についてお示しください。  さて、私の近所には車で五分圏内にコンビニが五つあります。私はコンビニの三軒隣で育ちました。小学校高学年のときにコンビニができ、まさにコンビニ世代と言っても過言ではありません。初めてできたときは、物珍しくてみんなそこに行っていたような気がいたします。まずは、二十四時間利用できるというその便利さに主眼が置かれていました。コンビニの二軒目、そして三軒目までは便利さの機会の拡大として捉えられていました。しかし、四軒目からは雰囲気が変わりました。便利さだけでなくて品質向上や独自性のある企画により、お客様がどの選択肢を選ぶかという視点になったように感じます。  激しいコンビニの立地合戦としたたかな商品開発力により、コンビニは日本人の生活習慣を変えた例もあります。例えば、一昔前までは瓶から飲み物を飲むときはコップに移して飲まないと、ラッパ飲みと呼ばれ、はしたないものとされておりました。しかし、瓶から缶、缶からペットボトルと容器が進化する中で、ラッパ飲みは今や当たり前になっております。  コンビニが日本に普及した理由として、安全社会であるということも挙げられます。安全社会であることに助けられて二十四時間営業が可能になり、そして二十四時間営業が利用者に支持される。結果、コンビニが信頼を得るというプラスの循環にあることは間違いありません。  また、コンビニが官公庁へ出店している事例もあります。例えば、ファミリーマートでいいますと、岐阜県では財団法人職員互助会より業務委託を受けて県庁内に入っています。また、埼玉県庁では地方共済組合埼玉県支部より委託を受けて、三重県では三重県職員互助会より委託を受けてファミリーマートが入っている事例がございます。  さて、コンビニは防犯の面からも役割は大きいかと思います。若い女性が一人歩きの夜道を後ろから誰かにつけられていると感じたときは、コンビニに入ってやり過ごすという事例は恐らく多々あるかと思います。  県警本部長にお尋ねします。  コンビニエンスストアからの通報を取り扱った事件を認知した事例がありましたら、お示しください。  不幸にもコンビニを舞台とした事件は、犯罪はゼロではありません。この三年間に起きたコンビニを対象とした強盗事件の認知件数と、その結果についてお示しください。  また、コンビニ強盗を未然に防ぐために、業界と一緒になってどのような取り組みをしているのかお示しください。  コンビニは、公衆トイレのかわりとしての役割も大きくなりました。私も、うちの子を連れていきますが、利用後は必ず一品何か買ってお礼をするように努めております。ところが、トイレの前に限って、成人雑誌の売り場前となっているケースが多くなっています。子供が目を白黒させながら成人雑誌をちら見してトイレを待つ風景は、どうしてもいたたまれないのであります。  ほかにも、県内で子育てするママさん方からこのような事例を聞きました。下の子を抱っこして手を洗わせていたときに、先にトイレを出た四歳児が下の段にあった成人雑誌を見ていた。トイレ待ちのときに二歳児が成人雑誌の女性のはだけた胸を見て、母乳を思い出して大喜びして大声で叫んで困ってしまった。  お尋ねします。  コンビニにおけるこういった成人雑誌の取り扱いについての現状の規制はどうなっているのかお示しください。また、業界団体との協議はどうなっているのかもお示しください。  次に、学校法人の継承をめぐる課題についてお尋ねいたします。  私は、この数年の間に三つの学校法人の継承にかかわるお話を聞いたり、実体験をしましたので、その経緯を御紹介を含め質問いたします。この三つは、全く別々の経緯を経て現在もあります。  A学校法人、創立者の理事長が経営をやめるに当たり、鹿児島在住の別の学校法人の理事長が継承することになったケース。B学校法人、創立者の理事長が経営をやめるに当たり、株式会社を経営する鹿児島県内の方が新理事長になり継承したケース。C学校法人、理事長が経営をやめるに当たり、学校法人の運営ができる鹿児島県外のコンサル会社の方が新理事長になり継承したケースであります。  A学校法人については、創立者の理事長と引き継いだ側の理事長が長い間の経営者仲間としての人間関係、信頼関係の中で、この人だったら間違いなかろうという、いわゆる、むら社会の信頼関係の中で引き継ぎが行われたケースで、比較的うまくいったケースではないかと思います。  B学校法人については、前事長と新理事長との間に人間関係もあり、円滑にうまくいくと思われていましたが、幼稚園の休園問題の手順も絡み、厳密に言えば株式会社が学校法人を引き継いでいるわけではないのですが、地元には株式会社の経営者が学校法人を引き継ぐことの違和感という感情論が残りました。  C学校法人については、私も一度、たまたま交渉の場に出くわすことになりました。御高齢の理事長さんが三十代とおぼしき若い営業マンの説明を受けています。私はその営業マンの方に申し上げました。「あなた方は数字と法令を熟知し、またノウハウを熟知しているが、創立者の思いを引き継ぐ真摯な気持ちがなければ、鹿児島の社会では見透かされますよ」と申し上げ、これ以上のかかわりは持たず理事会の意思決定の推移を待ったのであります。  こういった学校法人の引き継ぎに際しては、いろいろな風評が飛び交い、県内・県外のせめぎ合いなど嫌な思いがあったりしますが、私は、したたかに県が調整力を発揮していいものではないかと思います。  このような学校法人の継承について、これまで県ではどのように対応してきたのかお示しください。  また、学校法人の学校の定員については、学校法人側の定員申請をもとに、県私学審議会の意見を聞いて、知事の認可を経て決まるものと伺っておりますが、この数年の定員の変更の推移についてお示しください。  また、現在認可されている学校法人の学校の定員の充足率についてですが、多いところは多い、少ないところはずっと少ないままで、こちらも激しい競争になっていると推測されますが、充足率についてお示しください。  次に、魅力ある県民手帳づくりについてお尋ねいたします。  時期が来ますと、販売の協力要請が来る県民手帳でありますが、私も同僚議員も恐らく、五百円だからということで販売に協力しているかと思います。  私は、今回の質問に当たり九州各県の県民手帳を手に入れまして比較してみました。  まず、金額ですが、大型版と小型版を発行する県、それぞれでありますが、安くて四百円、高いところで七百円、鹿児島県民手帳は金額的にワンコインでちょうどいいくらいかと思います。  続いて発行部数ですが、福岡県民手帳は三万二千七百部、熊本と鹿児島が三万部、発行部数では九州上位、ほかの県は一万部台にとどまっています。鹿児島はなかなかの成績であります。  続いて、お手元にも配付してありますが、内容ですが、まず宮崎、こちらです。派手なパフォーマンスの知事がいた割には、手帳には目が届かなかったのか地味です。分冊で宮崎県の歴史年表等が出ていることは評価できます。  続いて佐賀県、カレンダーにこの十年間の毎日の天気の記録があります。県内の郵便番号簿がついていますので非常に便利かと思います。  続いて大分県、月々の手帳部分の合間に防災の知識についてのコーナーがあります。歴史上、大分県に津波をもたらした三つの地震の震源域や周防灘断層、歴史古文書における津波被害箇所と津波の高さを解説するページがあります。これは防災のページを特別設けているわけではなくて、日々の日めくりの中に散りばめてありますので、どうやっても使っているうちに目に入るような仕掛けになっています。  長崎県、特産品マップ、それから自由と平和の尊厳に関する長崎県宣言が特記事項かと思います。  沖縄県、統計協会がつくる県民手帳と民間がつくる県民手帳、二種類あります。さすがに競争をしているだけありまして、民間会社の創意工夫力が目立つかと思います。  熊本県、何月何日の天気がどうだったか、この五年間の天気の記録がカレンダーに記載されています。また、手帳の外側にくまモンが載っております。  福岡県、市町村ごとのデータブックが分冊でついております。これが非常に見やすい。参考になります。また、五年間の天気の記録もありますので、また、五百円の割にはカラーページが多い内容となっております。福岡の手帳にだけ書いてあった言葉が印象的です。「この県民手帳に対する御意見、御感想をお待ちしております」という一言がついておりました。  私は、統計の様子を盛り込みながら、鹿児島ももっとしたたかに手帳を作成すべきだと考えます。たかだか手帳、されど手帳です。もっと役立つ、もっと親しまれる鹿児島らしい内容にできるかと思います。  私案を幾つか披露すれば、鹿児島県内のぐりぶー、さくらじまん、さくらなどのゆるキャラを載せるページとか、薩摩剣士隼人などの御当地ヒーローが登場するページ、こういうのもいいかもしれません。  それに、毎日のコーナーに「きょうは何の日」の記述をつけてはどうでしょうか。例えば、一月十二日は桜島の大正大噴火の日、五月十四日は大久保利通の命日、五月二十五日は平田靱負の命日、六月十七日、鹿児島大空襲のあった日、七月十一日、江戸幕府が日の丸を国旗として全国に認めた日、八月六日、八・六水害のあった日、九月六日、鹿児島黒牛・黒豚の日、九月二十四日、西郷隆盛翁の命日、十二月二十五日、奄美群島日本復帰記念日など、鹿児島県にも県民に広く知ってもらうべきいろんな記念日があります。  ここで質問です。  現在の鹿児島県民手帳について、どのような編集メンバーでどのようなプロセスで製作しているのかお示しください。  手帳を毎年つくるに当たり、ポケットに入る大きさとか、厚みなどいろんな検討事項があるかと思いますが、改善点などの把握をどのような手法で行っているのかお示しください。  それから、手帳を発行している統計協会ですが、これは各県設置されているようでありますが、この統計協会の設置法令等についてお示しください。  それから、手帳の発行部数からいいますと、完売すれば一千五百万円の売り上げになるわけですが、この統計協会の手帳発行事業について、収支状況をお示しください。また、利益をどのような事業に生かしているのかお示しください。  これで、一回目の質問を終わります。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 22 ◯知事(伊藤祐一郎君)コンビニとの包括連携協定等についてのお尋ねがございました。  コンビニエンスストアは、市街地等を中心に多くの店舗を展開しておりまして、利用者が比較的容易にアクセスできますことから、災害発生時の応急的な支援や子供たちの安全確保のためにその店舗等を活用することは、行政にとりましても有効であり、現在、ファミリーマート、ローソン、サンクス、セブンイレブンとの間において連携協定を締結しているところであります。  これらの協定に基づきまして、災害時の水や非常食などの応急物資の提供や帰宅困難者への支援、子供が不審者などから逃れるための避難場所等の提供を行っていただくことといたしております。こうした安心・安全の確保の取り組みに加えまして、県産品の販売の促進や観光情報の発信などにも取り組んでいただいており、県行政に広範にわたって協力をいただいているものと考えているところであります。 23 ◯警察本部長(杉山芳朗君)県警察で把握しているコンビニエンスストア、いわゆるコンビニは本年一月末現在で六百二十四店であります。  次に、コンビニからの通報をもとに取り扱った事例でありますが、いわゆる変質者につきまとわれた女性が店内に駆け込むなど、女性や子供の避難場所として活用された事例や、店員がATM操作にふなれな高齢者に声かけを行い、振り込め詐欺の被害を未然に防止した事例があります。  それから、コンビニを対象とした強盗事件でありますが、昨年までの三年間で十二件を認知し、うち十一件を検挙しております。  県警察では、コンビニ対象強盗事件を防止するためにパトカー等によるコンビニへの立ち寄り警戒活動、現金管理の方法等についての防犯指導を行うとともに、事業者と連携して、防犯カメラ、警備会社への非常通報装置等の防犯設備の整備、事件発生時の通報要領やカラーボール投てき等のいわゆる強盗対応訓練、鹿児島県深夜スーパー等防犯対策協議会の開催による警察・業者間の防犯情報の共有、自主防犯体制強化のための来店者に対する声かけや警戒要領等の研修等を行っております。 24 ◯県民生活局長(平田武志君)コンビニエンスストアにおける成人雑誌の現状の規制等についてでございます。  県青少年保護育成条例では、青少年の健全育成を阻害するおそれのある成人雑誌など有害な図書等につきましては、図書等の取り扱い業者に対し、青少年への販売や閲覧等を禁止し、また、一般図書との区分陳列や青少年の購入等を禁ずる旨の表示を義務づけております。  このため、県におきましては、毎年七月から八月にかけて、夏の「郷土に学び・育む青少年運動」に合わせて、成人雑誌などを販売しているコンビニエンスストア等への一斉立入調査を行い、店長等に対し、有害図書等の青少年への販売を禁止するとともに、成人コーナーの設置による明確な区分陳列や、簡単に手にとって立ち読みができないように、テープどめやひもかけなどをして陳列するよう指導しているところでございます。  また、各コンビニエンスストアの本部を訪問しまして、それぞれの加盟店等に対して、有害図書等の適正な取り扱いについて指導するよう要請しております。  業界団体との協議につきましては、地域振興局・支庁ごとにコンビニエンスストア業界や警察、学校、青少年育成関係者等で構成しております青少年環境づくり懇談会を開催しまして、立入調査の結果報告や意見交換等を行いまして、条例の趣旨が徹底されるよう努めております。  現在、コンビニエンスストアでは、有害図書等につきましては区分陳列やひもかけ等をするとともに、店外からの目線も考慮して、窓側でしかも店長や従業員等が常時監視できる場所に陳列していると聞いております。  県としましては、今後とも、有害図書等が容易に青少年の目に触れないような陳列場所や陳列方法などにつきまして、業界団体を初め、関係機関・団体等と協議・意見交換を行うなど連携を図りながら、青少年を健全に育てるための良好な環境づくりに努めてまいります。 25 ◯総務部長(布袋嘉之君)学校法人の継承についてでございます。  学校法人の理事長や役員の選任につきましては、学校法人が自主的に行っているものであり、理事長や役員の専任及び解任の方法、その他、役員に関する事項は、私立学校法において、それぞれの学校法人の寄附行為で規定することとされております。  私立学校法施行令において、理事などの役員が就任し、または退任したときは、学校法人は遅滞なく知事に届け出なければならないこととされておりまして、県としては寄附行為に定められた手続を経たことを証明する書類などを添付した役員変更届出書の提出などについて、指導しているところでございます。  次に、学校の定員等についてでございます。  学校法人立の学校における過去十年間の定員の推移については、平成十五年度は小・中・高校二万六千二百五十五人、幼稚園二万三千六十人、専修学校七千八百二十七人であり、平成二十四年度は小・中・高校二万一千七十人、幼稚園二万二千二百六十五人、専修学校八千四百六十九人となっております。  定員に対する充足率の推移については、同じく平成十五年度は小・中・高校七五・四%、幼稚園七〇・三%、専修学校七六・七%でございまして、平成二十四年度は小・中・高校七九・四%、幼稚園七三・七%、専修学校七六・二%となっております。 26 ◯企画部長(稲原 浩君)県民手帳の作成プロセス等についてでございます。  県民手帳は、広く県民に利用していただきますよう、手帳機能に加えまして県政に関する統計データや県民生活に役立つ多くの情報を掲載いたしますため、毎年度初め、統計課職員をメンバーといたします編集会議において、次年版の内容を検討の上、夏ごろまでに決定をいたしております。その際、県民にお知らせすべき県政の動きや他県の手帳の内容などを参考に、掲載内容等の検討を行っております。  次に、統計協会についてでございます。  統計協会の設置に関する特段の法令はなく、同協会は、統計知識の普及や向上等を図るために設置されました任意の団体でございます。統計協会が発行いたしております手帳につきましては、発行に係る経費が約一千百万円、売り上げ収入につきましては、一部売れ残りもございまして、約千二百万円となっております。この収支差額につきましては、統計グラフコンクールの実施でありますとか、市町村の統計担当職員の研修等、さまざまな統計関連事業に充当させていただいております。 27 ◯藤崎 剛君 自席より再質問いたします。  手帳なんですけれども、統計課の職員が集まって作業をされているという話でしたが、PR課を含めて、いい情報を持っている職員の方はほかにもたくさんいるかと思いますが、その辺の、新しくメンバーに加えるとか、あるいはもっと庁内を話を聞き回るとか、いろんなやり方はあると思いますが、もう少し幅広く意見を聴取するような仕組みなどは今後、考えられませんか。 28 ◯企画部長(稲原 浩君)編集会議のメンバーといたしましては、統計課の職員で作成を進めさせていただいておりますけれども、当然のことながら、関係するデータについては庁内関係各課とやりとりをさせていただいた上で内容を決定いたしております。引き続き、きちっといろんな情報が共有されるようやってまいりたいと考えております。    [藤崎 剛君登壇] 29 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁いただきました。  包括連携協定というのは、あくまで善意に基づいて行われるものであります。また、どちらかが何かを言い出さないと、具体的事業というのは始まらないかと思います。公式、非公式含め、定期的にある程度の情報交換であったり、協議の場が必要かと思います。県庁はこんなことをやってほしいなと考えているんだけどとか、お互いの持っている情報と、お互いの持ってる機能、インフラをですね、きちっとお互いを知らない限りは、「ああ、そこの部分はコンビニ側も協力できますね」みたいなことは、相手からうまく引き出せないかと思いますので、ぜひ定期的にいろんな協議をお願いいたします。  それから、私学の運営についてでありますが、自主的な判断が求められるという法律の根拠があるそうですので、これからも、聞かれましたら、適切な指導・助言をお願いしてまいりたいと思います。  いずれにしましても、今定数を含めて充足数を含めて、私学もいろんな局面にあるかと思います。いろんな経営環境の変化もあるかと思いますが、県としてもいろんな助言を学校法人のほうにしていただきたいと思います。  次の質問に入ります。  鹿児島港本港区、新港区の整備と回遊性の向上についてお尋ねいたします。  鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会は、平成三年六月に発足し、平成七年には鹿児島港本港区ウォーターフロント開発計画を策定し、着実に事業推進に努めてきました。その成果が、北埠頭旅客ターミナル、桜島フェリーターミナル、南埠頭旅客ターミナル、ドルフィンポートなど、現在見る姿になっています。  同協議会は、ことし一月二十三日に開催しました。その際、審議された議案を見ますと、平成二十三年度の事業実績と決算を審議し、そしてさらに二十四年度の分も、年度末ぎりぎりになって事業内容と予算を決定しています。内容を見ますと、収入は繰越金と利息で百二十七万円余り、支出はすべて予備費です。事業推進費はゼロです。平成二十四年度の活動は残りわずか一カ月を切っている状況でありますが、そもそもこのようなものは年度当初にすべきではなかったでしょうか。  活動内容についてですが、住吉町十五番街区の更地化の推進と街区の活用方策の検討とあります。あそこは鹿児島市内中心部に近いところに残されたまとまった土地であります。二万四千八百平米、七千五百坪余りの空間であります。  この協議会の目指す元々の基本計画の中には、「マリンテラス・鹿児島」とネーミングされていますがまだ道半ばであります。豊かな自然環境と調和し、歴史・文化を生かした個性あるウォーターフロントを創造する。水辺の開放感やにぎわい性のあるアメニティー豊かなウォーターフロントを創造する。二十一世紀に向けた生活航路や新たな海洋性レクリエーションニーズに対応した港湾機能の高度化を図る。上町地区を含めた地域の活性化を促す。東アジア諸国等の交流を活性化するための高質な都市機能の形成を図る。以上の五カ条もまだまだ色あせたものではありません。ただし、これからは、事業の手法が異なってくるのではないかと思います。  本港区、新港区の一帯は、まだ家族連れが一日中遊べるような空間にはなっていません。ちょっと寄って水族館を見る、ちょっと寄って御飯を食べるぐらい。車を一カ所に置いて、後は徒歩で飽きさせずにぐるぐる回って過ごさせる空間になる素地があるかと私は思います。  現在、鹿児島港本港区の住吉町十五番街区にちょうど隣接する鹿児島新港区は、今後の整備計画の中では、ターミナルもできるほか、緑地帯もできることになっています。また、鹿児島市では中央卸売市場整備計画があり、これからは鹿児島本港区だけでなく鹿児島新港区までを含めたエリアをきっちり設定し、リーダーシップを持って、したたかに精力的に調整していく場が必要かと思います。  特に鹿児島市では、鹿児島駅周辺まちづくりワークショップ、鹿児島中央駅周辺一体的まちづくりワークショップなど、ワークショップを設置してまちづくりに生かす事例が既にあります。また、交通政策課では鹿児島港の在り方懇談会を過去に開催して、いろいろ夢を語り合った経過もあります。  ここで、土木部長にお尋ねします。  鹿児島新港の整備についての今後の計画についてお示しください。また、鹿児島港本港区ポートルネッサンス21協議会を発展的に改組して、鹿児島新港区までを含めたまちづくりを協議する場にすべきと思いますが、今後の考え方をお示しください。  次に新形態、新しい形態の株式会社の支援についてお尋ねします。  株式会社ボッケモンプロ、株式会社OASYS鹿児島、株式会社KAPS、株式会社スポーツフロンティア鹿児島、この四つの会社名を聞いたことがありますでしょうか。
     それぞれ、ボッケモンプロは薩摩剣士隼人を運営する会社、OASYS鹿児島はプロサッカーのFC鹿児島を運営する会社、KAPSは同じくヴォルカ鹿児島を運営する会社、スポーツフロンティア鹿児島は、プロバスケットチームのレノヴァ鹿児島を運営する会社であります。皆様、チーム名を聞けば、ああそうなんだと気づかされる部分が多いかと思います。また、野球については、社会人クラブチームとしてまだ法人化されていませんが、鹿児島ドリームウェーブがあります。これもいずれは機が熟せば法人化するものと期待されています。  いずれの会社にも共通するのは、県民に夢を与え、夢を売って、県民に育てられながら大きくなっていくべき企業であります。これらの会社は、従来鹿児島にある株式会社とは異なり、まさに新しい形態の株式会社と言えるのではないかと思います。法人、個人から資金を募り、入場料収入を得たり、番組制作・興業を行い、それに関する応援グッズを製作・販売しています。スポーツ振興、教育、企業の振興、共生協働的な要素も含めた、まさに社会企業的な位置づけになるかと思います。  株式会社でありますので、さまざまな経営環境の変化があります。そういった環境の変化を乗り越えるのも一つの経験ではあると思いますが、こういった鹿児島初のプロスポーツや御当地キャラの会社を応援するために、さまざまな制度を活用してこのような企業をどのように応援できるものかお示しください。  一方、施設整備ですが、これから国体に向けて、県体育館の整備なども日程に入ってきます。また、ふれあいスポーツランドにおけるサッカー・ラグビー場の整備についても、補正予算で今回、六億七千八百万円から増額され、九億四千三百六十万円で二十五年度中整備を明言されました。県体育館の整備、陸上競技場の整備などスポーツ環境の整備が進められている途上ですが、本県においても、プロスポーツと選手と連携した取り組みを通じて、競技スポーツや生涯スポーツの振興を図っていくべきと考えます。  これまでの本県におけるプロスポーツと連携した取り組みを通して、どのような助言や支援をこれから行っていくのかお示しください。  最後に、県道坂元伊敷線についてお尋ねします。  国道三号の下伊敷交差点から始まり、県道鹿児島蒲生線までの間を結ぶ県道坂元伊敷線は、別名県道二〇八号とも言われ、全長三・四キロメートル、鹿児島市内の北部の大型団地から国道三号への交通アクセスを結ぶ重要な路線であります。もともとこの道路については市道であったものが、昭和三十三年に県道に昇格したものであります。伊敷ニュータウンや玉里団地、薩摩団地など、山の上に造成された団地と団地の谷合いを通る道路であって、この県道に沿って二級河川の山崎川が流れております。  県道は、全長が三・四キロのうち、一番幅の広いところで十八メートル、狭いところで四・七メートルしかなく、その幅に大きな差がある道路であります。国道三号線との結節点である下伊敷交差点から坂元方面に向かって三百二十メートルの部分については、平成六年に国土交通省と鹿児島県が交差点改良事業に着手し、拡幅部分に当たる地権者四十五名の協力により、土地を買収して事業を実施することができました。三号線に向かって出口の道幅が、従来の六・八メートルから十八メートルへ大幅に拡幅され、利便性が向上しました。  県道坂元伊敷線については、鹿児島市交通局の市営バスが走っております。市営バスの路線を調べてみましたが、バスが離合できない区間、一番長いのはこの県道の坂元伊敷線のみであるということでありました。「安全確保のために、離合したときにどのようにしていますか」と聞きましたところ、「道路幅に応じて安全速度で通行し、大型の対向車を認識したら双方譲り合っています」とのことでございました。  県道坂元伊敷線の拡幅については、これまで地元から何度も陳情が出されているとのことでありますが、現状についてどのように認識され、その整備についてどのように考えているのかお示しください。  また、県道坂元伊敷線から少し入ったところに、今度、鹿児島聾学校が移転してきます。車が離合もしにくい狭隘な鹿児島市道側が正面入り口になります。県の施設の中でもここまで入り口が入りにくい施設はほかにないかと思いますが、この今後の整備の方向性、また緊急車両の出入りの計画はどうなっているのかについてお示しください。  以上で、二回目の質問を終わります。 30 ◯土木部長(栗原淳一君)鹿児島港新港区の整備計画についてです。  鹿児島港新港区については、不足している荷役スペースの確保や旅客の利便性・安全性の向上等を図るため、老朽化した岸壁の沖出しを行うとともに、バリアフリーに対応した旅客待合所や乗降客の安全性を確保するためのボーディングブリッジ、港の景観に配慮した臨港道路沿いの植樹帯などの整備を行うこととしております。  現在、耐震強化岸壁や旅客待合所等の工事を進めているところであり、平成二十五年度中の一部供用に向けて着実な整備に努めてまいります。  鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会、今後のあり方についてです。  鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会は、鹿児島港本港区の施設整備を円滑かつ効果的に推進することなどを目的として、平成三年六月に発足したものです。これまで同地区において、いおワールドかごしま水族館や高速旅客船ターミナルなどの施設が整備され、おおむねウォーターフロントの形成が図られるなどの一定の成果が得られたことから、同協議会は役割を果たしたものと考えており、そのあり方について見直す時期に来ていると考えております。  一方、鹿児島港の整備に当たっては、今後とも関係機関と十分連携を図りながら進めてまいります。  県道坂元伊敷線の整備についてです。  県道坂元伊敷線は、周辺に住宅団地が立地しており、交通混雑が生じていることなどから、これまで、特に渋滞が著しい国道三号との結節点である下伊敷交差点の改良を行い、渋滞緩和に努めてきたところです。残る未整備区間の整備については、沿線には人家が密集し、多くの家屋移転が必要となることや、地形が厳しく多額の費用を要するなど、県の厳しい財政状況を考慮すると多くの課題があるものと考えております。 31 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)プロスポーツ運営会社等への支援についてでございます。  県におきましては、中小企業の創意工夫や自主的な努力が実を結ぶように、情報提供や経営相談、資金面などのさまざまな支援を行っているところでございますが、お話のございました御当地キャラやプロスポーツの運営会社の中で、株式会社OASYS鹿児島につきましては、平成二十二年度にビジネスプランづくりを支援した実績がございます。  県といたしましては、今後とも、中小企業者からの求めに応じた相談等にきめ細かく対応してまいります。 32 ◯教育長(六反省一君)プロスポーツ選手の活用と支援についてでございます。  プロスポーツ選手やプロスポーツチームの一流のプレーを子供たちが直接見たり、選手と触れ合いながら指導を受けたりすることは、スポーツに対する興味・関心を高め、競技人口やサポーターの拡大、選手の発掘・育成・強化につながり、将来的には本県の競技力向上にも寄与するものと考えております。  現在、県教委や各競技団体等が小・中・高校生を対象に、プロ選手やトップアスリートを活用したイベント等を開催しており、これに本県のFC鹿児島やヴォルカ鹿児島及びレノヴァ鹿児島等に所属している選手に指導者として協力していただいているところでございます。  今後は、こうした取り組みに加え、次期国体も見据えて今年度から取り組んでおりますジュニアの発掘・育成のための体験教室などにおきましても、プロスポーツ選手やトップアスリートを活用した実技指導、研修会等を実施することなどを通して、支援してまいりたいと考えております。  鹿児島聾学校の移転整備と進入路についてでございます。  鹿児島聾学校につきましては、施設の老朽化が著しいことなどから、鹿児島市下伊敷の鹿児島盲学校跡地へ移転整備することとし、現在、平成二十七年四月の開校に向け実施設計を行っているところです。  新たな聾学校のアクセス道路となる市道下伊敷玉里線は、幅員が狭く、車が離合しにくい状況でございますが、今のところ拡幅計画はないと鹿児島市から聞いております。  県といたしましては、新たな聾学校の出入り口については、旧盲学校の正面入り口を拡張するなどして、車両等の出入りがより安全・円滑にできるようにしたいと考えております。  なお、災害など非常時においては、救急車や消防車など緊急車両等が、正面道路からだけでなく、隣接する県立短期大学側からも円滑・迅速に進入できるルートを確保できるよう調整を行っているところでございます。 33 ◯藤崎 剛君 土木部長に再質問でお願いいたします。  ポートルネッサンスの問題にせよ、今の盲学校の入り口の市道にせよ、それから県道の坂元伊敷線にせよ、鹿児島市との協議が一番、継続的にしていくことが一番大事かなと思いますが、先ほどは全般的に言いましたけれども、土木部として、鹿児島市との協議について、これまでどれだけやってきているのか、またこれからどうすべきか、お考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。 34 ◯土木部長(栗原淳一君)土木部の事業に関しましては、非常に最近、鹿児島市との関係する事業であるとか、課題が多くなっていると認識しております。  そういう中で、御指摘のとおり、鹿児島市の皆さんとコミュニケーションを図っていくことが非常に大事であると考えておりまして、私の場合ですと、カウンターパートは建設局長さんになるんですけれども、できるだけそういう意思の疎通を図るようには努めているつもりでもあります。土木部の職員にも、そのような考えでこれから業務に当たるように努めてまいりたいと考えております。    [藤崎 剛君登壇] 35 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁いただきました。  ぜひ土木部におかれましては、今やっているような作業を今後も継続的にやっていただければと思います。  県道坂元伊敷線につきましては、交通激しい中、歩道もなく地元住民は使っております。ひやっとする場面もありますが、かろうじて重大交通事故には至っておりません。スピードを出さないドライバーの良識によるものかなというふうに思います。  本日質問してまいりましたが、最近気になるのが、九州新幹線の全線開通の効果でございます。この十年間の県税収入の側面から分析できますかと税務課にお尋ねしましたところ、税制改正の部分もありまして一概には比較できないというようなお答えでございました。しかし、どうにかそれらしき指標はないものかなと調べましたところ、不動産取得税が少し、それがかいま見えるような気がいたします。  新幹線は、平成十六年に部分開通、二十一年に全線開通したわけであります。この間の不動産取得税の推移を見ますと、平成十六年が四十二億円、十七年が四十一億円、十八年が四十五億円、十九年が四十六億円、二十年が四十二億円、開業年の二十一年が三十七億円、そして三十四億円、三十億円と推移しております。新幹線の全線開通前に集中投資されている状況がわかりますし、先ほどのコンビニの出店競争も数字を押し上げている一要因かと思います。  先日、日本銀行鹿児島支店の家田明支店長さんのお話を伺いまして、「消費者が従来よりもお金を払っていいというサービスを鹿児島県民は提供をしなければならない」という助言がありました。これには県民性と気質の変革と向上が必要じゃないかなと私は感じます。まさに、したたかさにつながるものかと思います。  さて、本日の質問の冒頭で、関ヶ原の戦いと島津義弘を引用いたしました。実は、鹿児島県民の皆様が余り知らない関ヶ原の戦いの事実があります。それは、関ヶ原の合戦に挑んだときの島津義弘の年齢であります。いろんな人に聞いてみましたが、四十代でしょう、五十代でしょうという答えが多く返ってまいります。実は徳川家康五十九歳、西軍の石田三成四十歳、妙円寺詣りの歌にも出てきますが、西軍を裏切った小早川秀秋はわずか十八歳であります。注目の島津義弘は六十六歳と当時にしてはかなりの高齢で、年齢でいけば上から二番目であります。義弘の心中も、「ないごて、おいが石田のような小わっぱの傘下に入らんといかんとけ」と思ったに違いありません。それでも作戦に従いました。ただ、徳川家康の本陣に向け突入して、六十六歳の気概を見せたのであります。  伊藤知事、あなたもことし六十六歳です。地方自治のトップとして、国に対して厳しく意見を言う合戦の部分もあるでしょうし、義弘のようにタフな交渉力で勝ち取る部分もなくてはならないと思います。  公務多忙でありますが、一つ御提案があります。六十六歳の同年生まれの人を集めて関ヶ原踏破するか、もしくは妙円寺詣りを一緒に歩きませんか。歩いてみれば、六十六歳の義弘の生きざまを学び、何か思うところが出てくるかと思います。歩き切れば、義弘のように八十五歳まで長生きできると思います。  さて、あすは全国藩校サミットが城山観光ホテルで、そして共生・協働フェスタが県民交流センターで行われます。なかなか十分なお手伝いはできませんが応援しております。  藩校サミットには、藩校を設立した藩主の末裔が全国からやってきます。具体的には、徳川将軍家の子孫、伊達政宗の子孫、水戸黄門─徳川光圀─の子孫など、また、藩校の名前がそのまま学校名になっている学校関係者も多数やってきます。多士済々な方々に鹿児島をPRするチャンスとなっておりまして、昨日、ガイドブックが完成いたしました。こちらでございます。燃え盛る桜島が表紙のカバーとなっております。  共生・協働フェスタも、県内で頑張るNPO法人等が一堂に会する場でございます。両方とも大変楽しめる参考になる催しでございますので、お時間ありましたらお出かけいただければと存じます。  以上にて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 36 ◯議長(金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十三分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 37 ◯副議長(たけ昭一君)再開いたします。  山田国治君に発言を許可いたします。    [山田国治君登壇](拍手) 38 ◯山田国治君 お許しをいただきました。きょうは、自民党県議団たくさんおられる中でありますが、特に執行部の方々、お許しをいただきました園田議員の御配慮がありまして、引く手あまたという言葉がありますけれども、発言者あまたの中でこのような時間をいただきましたことに、まずもって心から感謝を申し上げる次第であります。  質問通告に従いまして、順次質問させていただきたいと思います。  川内原発の現況と、県の防災対策事業についてでありますが、この日数が過ぎてこの時間でありますので、先ほども申し上げましたように重複する部分がたくさんあろうかと思いますが、どうぞ答弁のほうで違った角度で御答弁いただきまして、新鮮な質問だなと皆さんが思われるような御配慮のお願いを冒頭で申し上げておきます。  安倍政権は、原子力発電につきましては、可能な限り原発依存度を減らすとしておりますが、原発依存度を減らす場合には、代替エネルギーをどう確保するかなど課題があり、太陽光や風力などいわゆる再生可能エネルギーは、天候に左右されることなどから、今は再生可能エネルギーが我が国の基幹エネルギーになり得ないことは明らかであります。結局、火力発電に頼らざるを得なくなるわけでありますが、これも電気料金にはね返るコスト高や温暖化排出問題などを抱え、容易なことではありません。  福島原子力発電所の大惨事を経験して以来、今の世間の風潮は、原子力発電がなくても電気は足りているし、何とかなるのではないかと安易に考えている向きがあります。それは、今のところ、痛みを感じていないからであります。このまま日本が慢性的な電力不足に陥ると、電気料金が石油や天然ガスの価格に左右され、それを嫌う企業の海外移転や、それによる国内雇用の減少、失業者の増大へとつながっていくと思われるわけであります。  このようなエネルギーの危機的状況や産業競争力会議での議論を踏まえ、安倍首相は、一月二十五日の日本経済再生本部会合において、経済産業大臣に対し、前政権のエネルギー・環境戦略をゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、さらにはまたエネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築するよう指示したと聞いております。  当然のことながら、原子力発電所については、安全性の確保が大前提でありますので、国の原子力規制委員会において、世界最高レベルの安全基準を策定して、いろいろな角度から個別の原子力発電所の安全性について確認していただきたいと思います。  そこでお尋ねいたします。  一点目は、川内原子力発電所が再稼働するには、国の原子力規制委員会が検討している新安全基準への適合が義務づけられると思われますが、川内原子力発電所における、新安全基準骨子案に対する現在の取り組み状況についてお伺いいたします。  二点目は、今回、国が計上した二十四年度補正予算や二十五年度当初予算のうち、本県で予算計上した原子力防災関係の補助金及び交付金の事業はどのような内容があるのか、お伺いいたします。  次に、かごしま茶の振興に向けた取り組みについてお伺いいたします。  去る一月、第五十一回全国農林水産祭において内閣総理大臣賞を受賞されました霧島市の茶農家、有村幸二さんの受賞祝賀会に私も出席させていただきました。  今回の受賞は、有村製茶にとりましては、創業六十周年の記念すべき節目と重なる大変おめでたい出来事となり、平成十一年、同じく全国農林水産祭で農林水産大臣賞を受賞されたお父上、幸男さんの喜びもひとしおであったと思います。  これまで霧島の茶産地は、南薩地域の後塵を拝してきた感がありますが、最近では有村さんのような優秀な茶農家が多く育ち、地域全体でも品質のよいお茶が生産されるようになったため、平成二十二年の全国茶品評会以来、三年連続で産地賞を受賞できるまで、茶産地としての評価が高まりつつあります。  近い将来、「かごしま茶といえば霧島茶」と言われるような時代が来るよう、前田市長を先頭に茶業関係者が一丸となって、生産技術の向上と消費宣伝活動に懸命に取り組んでいるところであります。  さて、最近のお茶を取り巻く情勢につきましては、長期にわたる景気の低迷や消費の減少に伴い、平成二十年以降、荒茶価格の下落が続き、茶農家は厳しい経営環境に置かれてきました。しかしながら、平成二十三年ごろから、価格低迷の一因とされた流通段階での在庫が減少に転じたこと等もあり、かごしま茶に対する引き合いが強まり、この二年ほどは市場価格が好転する明るい兆しも見られるようになりました。  県では、このようなかごしま茶に対する追い風を絶好の機会として捉え、これまでなかなか実現が難しかった、かごしま茶のブランド産品指定に向けた取り組みを一昨年から進めてこられたと伺っております。  また、このように市場価格が好転する兆しが見られるのは、まことに喜ばしいことでありますが、その一方で、桜島は依然として活発な活動を続けております。その降灰による影響は県本土全域にわたっていると言っても過言ではありません。県の茶業界では安全・安心でクリーンなお茶づくりに取り組んでいることから、茶農家にとって、いかに降灰が混入していないお茶を生産するかが喫緊の課題となっております。  このため、県では、防災営農対策事業において、お茶の洗浄機械や施設の整備に取り組んでいただいているところでありますが、近年の降灰状況を反映して、茶農家の事業要望が多いと聞いており、その対応が急務であると考えられます。  そこでお伺いいたします。  一点目は、お茶のブランド産品指定の申請状況と、かごしま茶の販路拡大に向けた取り組みについてお伺いいたします。  二点目は、お茶の生産における降灰被害の防止・軽減を図るため、県として防災営農対策について、どのように取り組まれているのか、お伺いいたします。  続きまして、黒さつま鶏の振興についてであります。  先般発表された平成二十三年の本県の農業産出額は、四千六十九億円と全国で三位となっておりますが、その中でも畜産部門は、二千三百七十七億円と全体の五八%を占め、本県農業の主要な産業であります。  これまで、鹿児島黒毛和牛やかごしま黒豚などの畜産物は、県や関係団体等との連携のもと、生産振興対策や販売促進などに努め、全国でもトップクラスの地位が築かれているところであります。  また、地鶏においては、昭和四十七年にさつま若しゃも、平成十二年にさつま地鶏を県が開発され、県産地鶏として、本県はもとより関西や首都圏の料理店を中心に全国に流通しているところであります。  このような中、第三の地鶏として、平成二十一年に伊藤知事みずからが命名された「黒さつま鶏」につきましては、平成二十三年三月の九州新幹線の全線開業に合わせて、黒牛や黒豚に続く新たな鹿児島の黒として販売が開始され、現在、県内外において黒さつま鶏の取扱店が次々にふえるなど、非常に好評を得ていると聞いております。九州新幹線の全線開業に合わせて、新しい地鶏を売り込むことは、絶妙のタイミングではなかったかと思われます。  霧島市においても六戸の黒さつま鶏の生産者がおり、生産者拡大を図る中、ひなの供給が要望に追いつかないことや、生産者の間で品質にばらつきがあること等の問題があるとも聞いております。今後、黒さつま鶏の一層の振興とブランド化を図っていくためには、定時定量とあわせて高品質な地鶏生産が求められると思います。  そこでお伺いいたします。  黒さつま鶏の生産状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。  さらに二点目としては、今後の生産振興とブランド化に向けてどのような取り組みをしていかれるのか、お伺いいたします。  次に、建設工事入札参加資格格付の問題についてお伺いいたします。  本県の建設業は、地域経済や雇用を支えるとともに、災害時の迅速な対応やボランティア活動の実施等を通じて地域社会の重要な担い手となっており、地域に根差した建設業の育成・確保を図ることが重要であると考えます。  県では、建設投資額の大幅な減少などにより、県内建設業の経営環境が悪化していることから、平成二十一年度以降、段階的に土木一式A級業者数の削減を実施したところでありますが、次回の二十五年度、二十六年度の建設工事入札参加資格の格付についてはさらに大幅な削減が進められるのではないかとの声も聞こえております。  このような中、昨年末の衆議院議員選挙によりまして政権交代がなされました。国においては、緊急経済対策を盛り込んだ総額十三兆一千億円程度の本年度補正予算案が先月下旬に成立し、本県においても、二百八十七億円程度を普通建設事業費の補正額として計上した平成二十四年度補正予算案が本会議において提案され、県内建設業者においても、公共事業の増加に大きく期待いたしているところであります。  そこでお尋ねいたしますが、このように公共事業の増額に期待感が高まる中で、今回、格付においても引き続き、以前と同様、土木一式A級業者の削減を行うつもりなのかどうか、お聞かせください。  以上で、一回目の質問を終わります。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 39 ◯知事(伊藤祐一郎君)かごしま茶の振興に向けた取り組みについてのお尋ねにお答えいたします。  近年、かごしま茶に対する需要が高まりつつありますことから、本県茶業界におきましては、鹿児島を前面に打ち出した積極的な販路の拡大を推進いたしますため、一昨年から、県茶業会議所など関係機関・団体が連携いたしまして、かごしまブランド産品指定に向けた指定要件の設定や周知・啓発に取り組んできているところであります。この結果、現在、県内の茶商、農協、茶生産者など六十業者の二百二十九銘柄が指定される見込みでありまして、本年産の新茶から、かごしまブランドとして販売されることとなっております。  かごしま茶の販路拡大に向けた取り組みにつきましては、消費者の認知度を高めますため、これまで、関係機関・団体と一体となって、大消費地でのかごしま茶販売協力店における販売促進、郷土の菓子とセット販売を行います「かごしま百円茶屋」の出店、首都圏のラジオ放送による情報発信などに取り組んできているところであります。  県といたしましては、今回のかごしまブランド産品指定を契機として一層の販路拡大を図りますため、北海道・東北地区の販売協力店をさらに拡大いたしますとともに、首都圏のホテル・レストランにおける、かごしま茶の利用を促進することといたしております。また、仕上げ茶の品質向上を図りますため、茶の農家を対象とした技術研修会の開催などにも取り組むことといたしております。
     今後とも、高品質で安心・安全な茶づくりに努めますとともに、かごしま茶のPR活動を積極的に展開することにより、品質、生産力、知名度の三拍子そろった日本一の茶の産地を目指してまいりたいと考えております。 40 ◯危機管理局長(平田浩和君)新安全基準骨子案に対します九州電力の取り組み状況についてでございます。  原子力規制委員会におきましては、福島で起きたような事故は二度と起こさないとの決意のもとに新安全基準について検討を進め、その骨子案を一月末に公表したところでございます。  九州電力におきましては、新安全基準の骨子案に示された対策のうち、可搬式ポンプ、電源車の配備などについては既に対策を終えますとともに、免震重要棟や格納容器フィルター付ベント装置など、整備に時間を要する対策についても取り組みを進めているところでございます。  現在、新安全基準の詳細な内容や、整備をいつまでに行う必要があるかなど、具体的な基準内容が明らかではない状況にあり、九州電力としましては、今後、新安全基準の詳細な内容が判明した際には、迅速かつ適切に対応し、川内原子力発電所の安全対策に万全を期したいとしているところでございます。  次に、原子力防災関係の交付金事業等についてでございます。  国では、原子力防災対策の充実・強化を図るための財政措置を補正予算及び当初予算で講じましたことから、本県におきましても、必要な原子力防災関係予算を計上したところでございます。  その主な内容といたしましては、オフサイトセンター及び消防学校に整備予定の代替オフサイトセンターの建物の気密化や浄化空気の供給など放射線防護対策を講じる事業。PAZの五キロメートル圏内において、即時避難が困難な要援護者や住民等を安全に避難させるため、要援護者施設等に放射線防護対策を講じ、一時的な屋内退避施設を確保するための事業。それに、住民等が放射線量率を測定し、OILに基づく避難準備が行えるよう、簡易サーべイメーター等の放射線測定器を公共施設等に配備する事業。それから、UPZ三十キロメートル圏設定に伴います周辺六市町に対する緊急時連絡設備や防災活動資機材等の整備を行う事業。それから、住民等の被ばく医療対策に必要な資機材や安定ヨウ素剤を整備する事業などでございます。  今後とも、本県の原子力防災対策の充実・強化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 41 ◯農政部長(中西 茂君)茶の降灰被害対策への取り組みについてでございます。  桜島の降灰による茶の被害対策につきましては、防災営農対策事業等によりまして、平成二十三年度末時点で、県内五百四十八茶工場のうち四百三工場で、葉に付着した灰を収穫後に水で洗い流す生葉洗浄脱水施設が整備されております。また、平成二十四年度につきましては、十九の茶生産組合を対象に生葉洗浄脱水施設等を整備しているところであり、平成二十五年度は、これを上回る三十六の茶生産組合から事業要望が出されているところでございます。  県としましては、これらの要望に的確に対応するため、国の新規事業を積極的に活用しながら、防災営農対策事業を実施することとしており、平成二十四年度三月補正と平成二十五年度当初をあわせまして、野菜の被覆施設等の整備を含め、全体で約二十一億五千万円を今議会に提案させていただいております。  今後とも、茶の被害防止と農家経営の安定を図るため、地域における被害の実態や地元の要望などを踏まえまして、計画的な施設整備に努めてまいりたいと考えております。  黒さつま鶏の振興策についてでございます。  黒さつま鶏につきましては、平成二十三年三月から販売が開始され、現在、県地鶏振興協議会会員のうち、十七名が生産し、平成二十三年度に四万二千羽の出荷羽数であったものが、平成二十四年度は二倍以上の約十万羽となる見込みでございます。  生産振興につきましては、当初、出荷目標を二十万羽と見込んでおりましたが、需要が大きく伸びていることから、目標を四十万羽に変更し、出荷に応じたひなの供給に対応するため、平成二十五年度から、畜産試験場で飼養している原種鶏の横斑プリマスロックを増羽することや、協議会において、新たに年間二十万羽のひなの供給が可能な種鶏場の整備を計画いたしております。  一方、ブランド化に向けては、今後、高品質で斉一化を図るための飼養マニュアルの改訂や、飼料用米等の給与による食味性にすぐれた地鶏肉の生産に取り組むとともに、販売指定店制度の創設についても検討することといたしております。  県といたしましては、協議会と一体となりまして、生産から流通・販売までの一連の生産体制を整備し、黒さつま鶏のブランド化を目指してまいりたいと考えております。 42 ◯土木部長(栗原淳一君)土木一式A級業者の削減についてです。  県では、建設投資額の大幅な減少など、県内建設業者の経営環境が悪化する中で、技術と経営にすぐれた建設業者の育成を図る観点から、土木一式A級業者数について、平成二十一年度以降段階的に削減を行ったところです。  土木一式A級業者数については、平成二十五、二十六年度格付においても、引き続き削減を行う必要があると考えていますが、格付に当たっては、今後の公共事業の動向等を踏まえるとともに、地域に根差した技術と経営にすぐれた建設業者の育成を図る観点も考慮し、対応してまいります。    [山田国治君登壇] 43 ◯山田国治君 土木一式A級業者に対する御答弁をいただきました。  民主党政権の時代に公共事業が国においても削減され、さらにまた県も仕方なく削減せざるを得なかったそういう状況下で、我々自由民主党の中でも、特に桑鶴議員が会長をされております建設問題調査会でもいろんな議論がありました。しかし、削減されているというそういう実態に対して、我々も反論ができない部分がありました。しかし、土木部長に考えていただきたいのは、公共事業も、政権がかわり、これから、言葉によっては我々の聞き方もあると思いますけれども、全盛時代に返していって、地方のあるいは社会資本の整備については、重きを置きながら対応するという安倍総理の発言もあります。近々、A級業者の削減の作業に入られると思いますけれども、ぜひその辺の御配慮をいただいて、県内の業者が困るような状況に置かれないようにぜひ一考を要して考えていただきたいと思います。  続きまして、動物愛護センターの問題についてお伺いいたします。  近年、犬・猫を初めとしてペットを飼育する人がふえております。今回、霧島市隼人町に整備されます動物愛護センターは、知事の英断のもと、全国的にも珍しい動物愛護に特化した施設として、いよいよ平成二十五年秋を目標に開所されると伺っております。  当センターの建設につきましては、現在、地域住民の皆さんから御理解をいただいていると聞いておりますが、これまでの間に戸別訪問や地区説明会など、いろいろ職員の方々におかれては御苦労をされた話も伺っております。  開所後は、人と動物とのふれあい、共生・協働活動の拠点施設として、動物愛護思想の普及・啓発や動物の適正飼養の普及など、県民の皆様の関心と理解の増進が図られることが大いに期待されるところであります。  そこでお伺いいたします。  地域住民の皆様へのさらなる理解を深めるため、どのような取り組みをされてきたのか、お伺いいたします。  二点目でありますが、当センターの機能と、期待される効果がどのようなものを想定されるのか、お伺いいたします。  次に、漁業振興についてお伺いいたします。  本県の魚類養殖業の振興についてでありますが、まず初めに、ブリ・カンパチ養殖業の振興についてであります。  本県の漁業生産額は、平成二十二年には約八百億円、これは全国第四位の生産額であり、本県は文字どおり全国有数の水産県となっております。中でも養殖業は漁業生産額の七割を占めており、本県漁業の主力をなしておりますが、その大半を占め、全国一の生産量を誇るブリ・カンパチ養殖業にいま一つの活気が見られません。というのも、生産者価格は、ブリについては平成二十三年初めから、カンパチについては平成二十三年末から低迷する状況が続いております。  現在、ブリで一キログラム当たり五百円前後、カンパチで六百円前後となっておりますが、生産に必要な経費、種苗代や餌代、燃油代などの高騰が生産原価を上回る厳しい経営状況にさらされております。これには、天然ブリの豊漁、養殖カンパチ自体の生産過剰や安価な輸入サーモン等の影響、世の中の不景気などさまざまな要因があると思われますが、首都圏での量販店や小売店等での刺身の販売価格は、百グラム当たり四百円から五百円程度と聞いており、店頭価格に生産現場の状況はほとんど反映されていない実態があります。長引く生産現場の価格低迷を見るにつけ、店頭価格との余りの格差に何か釈然としないものを私は感じております。  ブリやカンパチ養殖は、これからも本県の水産業にとって重要な漁業であり、鹿児島を代表する漁業でもあります。生産者価格との均衡のとれた店頭販売価格、さらに、消費者が手に取りやすい価格が実現すれば、生産者にとって有益であるとともに、水産物の消費拡大や魚離れの解消につながると考えております。  そこでお伺いいたします。  養殖ブリやカンパチの魚価低迷が続く中、適正な生産者価格の確保とそれに見合った消費者への販売価格が求められますが、県は流通・販売対策についてどのように考えておられるのか、今の現状も踏まえた上で御答弁いただきたいと思います。  続きまして、クロマグロ養殖の振興についてであります。世界的に重要な天然資源であるクロマグロについては、国際的な資源管理が強化されてきており、天然種苗にほぼ一〇〇%依存している現状のクロマグロ養殖にとって、健全な種苗や養殖漁場の安定確保は、経営の根幹となる重要な課題であります。  その一方では、需要と供給のバランスから見て、養殖クロマグロの生産量と生産者価格との均衡が保てるのか。現在、養殖クロマグロの国内生産量は約九千トンとなっており、比較的安定した価格で取引されているようでありますが、今後の生産の行方次第では、私としてはブリ・カンパチ養殖の二の舞になりはしないかと危惧いたしております。  県においては、クロマグロを取り巻く情勢を踏まえ、昨年七月に、クロマグロ養殖業者、関係漁協や学識経験者等からなる鹿児島県クロマグロ養殖振興協議会を開催し、本県における今後のクロマグロ養殖のあり方について、議論を始められたとお伺いいたしております。  本県は、年間を通じ温暖で静穏な海域を有していることから、クロマグロ養殖業は将来のある有望な漁業であり、今後とも持続的・安定的に発展させていく必要があると考えております。  そこでお伺いいたします。  一点目に、本県におけるクロマグロ養殖の現状についてお伺いいたします。  二点目は、魚類養殖業を取り巻く環境が厳しさを増す中、県はクロマグロ養殖振興についてどのように対応していくのか、お伺いいたします。  続きまして、我が国と郷土を愛する心の教育についてお伺いいたします。  昨年末の衆議院選を受け、十二月二十六日に第二次安倍内閣が発足いたしました。衆議院選の最中でありましたけれども、自民党は、危機的状況に陥った我が国の教育を立て直すとして、教育再生を政権公約の一つに掲げてまいりました。  その中で、教育基本法の理念に基づき、家族、地域社会、国への規範意識を持つ国民、よき歴史、伝統、文化を大切にする国民の育成や、我が国を愛する心と規範意識を兼ね備えた教育を図ることとしております。教育基本法は第一次安倍政権時に抜本改正されました。  私たちは、自分たちの生まれたふるさとを含めて、素直に我が国を愛する心を育てることは大変重要なことであると思っております。学校現場においても、我が国や郷土を愛する心をしっかりと教えるべきであります。  そこでお伺いいたします。  この「我が国と郷土を愛する」ということに対する教育長の認識についてお示しいただきたいと思います。また、本県の教育にどのようにこれを位置づけていかれるのか、お伺いいたします。  さらに、我が国と郷土を愛する心を学校でどのように今後教えていかれるのか、お伺いいたします。  次に、教育における国際化についてお伺いいたします。  現在、政治・経済を初め、さまざまな分野で国際化が加速度的に発展し、人、物、金が国を越えて流動する時代を迎えております。  そういう中でお尋ねしたいのは、県教委として国際化をどう捉え、それに対応できる子供たちの育成にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。  私は常々、我が国や本県の将来を担う児童生徒の教育は、とても大切だと考えております。特に、学校教育は子供たちの学力や豊かな心を育て、健全な成長のための基盤となるもので、大変重要であると思います。  学校教育は、施設や設備の整備等の物的な面の充実も重要ですが、教育は人なりと言われるように、児童生徒の教育に直接携わる教員の力量によるところが極めて大きいと考えます。本県教育の発展のためには、児童生徒の教育を担う教職員一人一人の資質の向上が重要な課題であります。  昨今、いじめや不登校の問題、教職員の不祥事、体罰などのさまざまな課題があり、幅広い教養や人間的に魅力ある優秀な人材を確保することが大切であると考えます。また、教育基本法では、「教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と規定されていることから、さまざまな研修の機会を設定し、教員の全体的な資質の向上に積極的に取り組む必要があります。  そこでお伺いいたします。  一点目は、ここ数年の教員の採用者数はどのくらいなのか。さらに、その選考について、本県としてのどのような工夫を凝らしておられるのか、お伺いいたします。  二点目は、本県の新任研修の実施状況及び本県の特徴的な研修方法があればお知らせください。  以上で、二回目の質問を終わります。 44 ◯保健福祉部長(松田典久君)動物愛護センターについてでございます。  動物愛護センターの整備に当たりましては、建設予定地の地域住民の方々に対して、地元説明会や戸別訪問により、整備目的や施設概要について説明をいたしましたほか、施設の具体的なイメージを持っていただくため、地域住民の参加のもと、本県が想定する施設と同等の機能、規模、設備を備えた他県の動物愛護センターへの視察研修と、その研修報告を兼ねた説明会を実施するなどして、整備について地域の御理解をいただいたところであります。  また、周辺地域の自治会長や地元小学校に対して説明を行いますとともに、さらに、地域住民の方々に対しましては、具体的なスケジュールや整備内容等について、戸別訪問や説明会を通じて、適宜きめ細かな説明に努めてきたところであります。  県といたしましては、今後とも、必要に応じて進捗状況などの説明や情報提供に努め、完成後は、地域住民の方々にとっても利用しやすく、親しみの持てる施設にしてまいりたいと考えております。  動物愛護センターは、地域における人と動物とのふれあい共生活動を支援する拠点施設として整備するものであり、動物愛護思想と動物の適正飼養の普及啓発や、犬・猫の譲渡の推進を主な機能として位置づけております。具体的には、獣医師会や動物愛護関連のNPO等の協力も得ながら、動物とふれあうことで命の大切さを学ぶ教室、終生飼養の重要性や、動物のしつけ・飼い方を学ぶ教室を開催するほか、犬・猫の譲渡の推進を図るための譲渡会や、動物とふれあうイベントの実施等にも取り組むこととしております。これらの活動を通じて、子供から高齢者までの幅広い層の方々が動物に関する知識や理解を深め、動物愛護思想の一層の普及定着が図られるものと考えております。 45 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)養殖ブリ・カンパチの流通・販売対策についてでございます。  適正な生産者価格を確保し、それに見合った販売価格で消費者に提供していくということが、持続的な養殖業を推進していく上で重要であると考えております。  生産者団体等では、大手量販店とタイアップし、品質の高いプライベートブランドの商品を開発し、一定価格で安定的に出荷する取り組みや、大型活魚トレーラーを活用した首都圏での販路拡大等の取り組みを実施しているところでございます。  しかしながら、養殖ブリ・カンパチにつきましては、販売価格が生産原価を下回る厳しい環境が続いておりまして、県といたしましては、各漁協等が行います、流通業者や消費者のニーズに合わせたフィレなどの一次加工等の施設整備に係る支援を行いますとともに、流通業者や量販店、外食産業等と連携して、ブリ・カンパチの消費拡大キャンペーン等を強化してきておりまして、今後とも、県漁連等関係団体と一体となって、生産者団体等の流通・販売対策を支援してまいります。  クロマグロ養殖業の振興についてでございます。  本県は、年間を通じ温暖で静穏な海域を有しておりますことから、奄美大島を中心に、甑島や南さつま市等で八経営体がクロマグロ養殖を行っておりまして、平成二十三年の生産量は約三千トンと、全国生産量の約三四%を占めて全国一となっております。  クロマグロ養殖は、主に釣りなどで採捕されました天然種苗を海面の生けすで二年から四年間飼育をいたしまして、一尾当たり四十キログラムから百キログラムのサイズまで育てた後、市場に出荷されております。平成二十四年の国内養殖クロマグロの出荷価格は、関東で一キログラム当たり三千五百円前後で、比較的安定した取引がなされております。  クロマグロ養殖業をめぐる環境は、国際的に資源管理のための漁獲規制が進む中、天然種苗に依存している養殖用種苗の確保が課題となっております。このことから、国におきましては、クロマグロ資源の保存に配慮した安定的な養殖生産を実現いたしますために、人工種苗生産技術の確立や、人工種苗への転換を促進いたしますとともに、昨年十月には、新たな養殖漁場等に対しましては、天然種苗を現状より増加させないとする規制が出されたところでございます。  県におきましては、昨年七月に、県クロマグロ養殖振興協議会を設立したところでございまして、国際的なマグロの資源管理の動向や人工種苗の生産技術開発の進展を踏まえながら、養殖業者や漁協等と連携し、本県の海域特性を最大限に生かした持続的なクロマグロ養殖業の振興を図ってまいりたいと考えております。 46 ◯教育長(六反省一君)我が国と郷土を愛することの認識と位置づけについてでございます。  我が国と郷土を愛するとは、伝統と文化を育んできた国民や国土、自然環境、歴史などの全てを我が国と郷土として捉え、それらを愛し、尊重いたしますとともに、そうした我が国と郷土の発展を願い、発展に寄与しようとすることであると認識いたしております。  社会がグローバル化し、異なる伝統や文化を持つ人々との共生が求められている時代において、これからの社会を担う者は、我が国の伝統と文化を学び、それらを育んできた我が国と郷土を愛しますとともに、ほかの国の伝統や文化も尊重する態度を養うことが欠かせないと考えております。  こうしたことから、県教委といたしましては、県教育振興基本計画の基本目標における人間像として、「我が国と郷土を愛する態度を養い、これからの社会づくりに貢献できる人間」を掲げますとともに、計画策定から五年間に取り組む三十六の施策の中に、郷土教育の推進や道徳教育の充実を位置づけ、先人の業績や生き方を学ぶ活動や伝統文化を体験する活動の充実を図りますとともに、国旗・国歌を尊重する取り組みなどを進めているところでございます。  我が国や郷土を愛する心の学校での教育についてでございます。  各学校におきましては、各教科や道徳の時間、総合的な学習の時間等の授業を通して、先人の業績やすぐれた文化遺産を取り上げた学習や、和楽器を用いた伝統音楽に関する学習、我が国や郷土の地理、歴史、伝統、文化などの魅力について調べ、発表し合うなどの学習を行っております。  また、県教委では、郷土の先人等の生き方に学ぶ読み物教材「不屈の心」を作成し、各学校の道徳の時間や総合的な学習の時間等で活用できるようにしているところでございます。  これらの取り組みを通して、今後とも、我が国と郷土鹿児島の伝統・文化についての理解を深め、尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する態度を養いますとともに、これからの社会づくりに貢献できる人間の育成に努めてまいります。  教育における国際化についてでございます。  グローバル化が進む国際社会において、我が国と郷土の伝統・文化についての理解を深め、日本人としての自覚を持ち、国際感覚豊かな人材を育成することは重要なことであると考えております。  国際化に対応する教育の推進につきましては、外国語学習を初め、国語、歴史、地理などのさまざまな教育活動を通して、コミュニケーション能力の育成や異文化の理解促進に取り組んでいるところでございます。とりわけ、自分自身の考えをしっかり持ち、それを自分の言葉で表現する力や、異なる考え方を尊重する態度を育成することが求められているものと考えておりまして、各教科等におきましても、スピーチ、プレゼンテーション、ディベート等の実践的な取り組みを行っているところでございます。  県教委としては、今後も、これからの国際社会において、みずから思考し、判断することのできる国際感覚を持った児童生徒の育成に努めてまいりたいと考えております。  教員の採用状況等についてでございます。  教員の新規採用者数につきましては、平成二十三年度二百九十一人、平成二十四年度二百六十八人であり、平成二十五年度は二百三十六人の採用を予定いたしております。少子化による学級減、学校の統廃合等が進んでおりますことや、定年退職者数の動向から、減少の傾向となっております。  教員採用試験におきましては、知識や技能はもとより、教育への情熱・意欲を有し、人間的に魅力のある人材を確保するため、毎年、工夫・改善に努めてきたところでございます。直近三年では、平成二十二年に、全国レベルのすぐれた体育技能を有する人材を確保するための保健体育特別選考を実施、平成二十三年に、二次試験の適性検査の充実とともに、協調性や対応能力、集団におけるコミュニケーション能力等を評価するためのグループ討議を導入、平成二十四年度に、障害者特別選考における教養試験免除などの工夫・改善を行ってきたところでございます。  新任教員研修についてでございます。  県教委では、教職員一人一人が生涯を通じて資質能力の向上が図られるよう、初任期、中堅期、円熟期などの教職員のライフステージに応じた経験年次別による研修を実施いたしております。  初任者研修は、教員としての使命感と実践的指導力を養い、幅広い知見を得させるとともに、地域の一員としての自覚を確立することを狙いとして、新規採用一年目の教員に対して、教職経験が豊富な教員を指導教員として配置し、校内において、学習指導、生徒指導等に関する基礎的な研修や研究授業研修等を百七十時間、また、校外において、総合教育センターでの研修や他校種参観、地域貢献体験研修等を二十日間実施しているところでございます。  なお、本県では、平成二十一年度に、研修期間を一年間から三年間に見直し、二年目と三年目にも校内における研究授業を中心とした研修を行うことで、学校全体として新任教員を育てていくこととしております。    [山田国治君登壇] 47 ◯山田国治君 それぞれ御答弁いただきました。  動物愛護センター、この件につきましては、我々地元の県会議員も何回となくその説明会に出席させていただきました。言うまでもありませんが、県内においてあるいは全国的にも珍しい、そういう施設に限らず、物をつくるときには、必ず地域住民の方々は不安を抱かれるのは当然であります。しかしながら、我々も出席させていただきまして、その職員の方々の御努力には深く頭の下がる思いでありました。すばらしい施設ができることを我々も大きく望んでいる次第であります。  さらにまた、先ほどブリ・カンパチの養殖についてのお答えがありました。  クロマグロにつきましては、これから我々は、そのおっしゃったことに対して大きな期待を込めておりますけれども、ただ、考えたときに、四キロから五キロのブリを出荷するたびに、千円、それに上乗せして販売しないといけないという今日の状況を考えたときに、これでいいのかという大きな疑問を私は持ちます。
     行政というのは、最初から民間の人たちに手を差し伸べるのではなくて、努力に努力を重ねていただいて、その結果、どうしようもないと、民間の力では及ぼす力が限界であると、そういうものを感じたときには、そこで行政の力を差し伸べていただいて、これに対応するのが、私はその一つの筋であろうかと思います。もちろん、生けすの中に必要以上の、決まり以上のカンパチやブリを入れているのも、私は承知いたしております。これは皆様方のほうでも抜本的に、やはりその体質を変えるような方法を私は考えていただきたいと思います。  申し上げたいこと、るるありますけれども、また次の機会もありますし、委員会等もあります。その機会を捉えて、県民の皆様方の立場に立って、執行部の皆様方にいろんな懸案を御相談申し上げてまいりたいと思います。  ありがとうございました。(拍手) 48 ◯副議長(たけ昭一君)次は、桑鶴勉君に発言を許可いたします。    [桑鶴 勉君登壇](拍手) 49 ◯桑鶴 勉君 一般質問三日目、四番目になりますと、質問項目が随分重複してまいりました。なるべく重複を避けて質問させていただきますが、質問が重なるということは、県民の関心がそれだけ高いということでありまして、当局の皆様には、重く受けとめてほしい旨申し上げ、なるべく重複を避けて質問してまいります。  知事のトップセールスについて伺います。  ことしの予算、トップセール推進事業費三千二百八十二万五千円の予算額が計上されています。知事のトップセールスという文言を私なりに解釈しますと、知事が量販店などの物産展などで、はっぴ姿で派手なパフォーマンスを行ったり、セールスをして歩くということもあるでしょうが、それよりも、もっと大切なことは、県のあらゆる組織を糾合し、一次産品から工業製品、さらにはサービス業務に至るまでその価値を高め、生産する者、流通に携わる者、消費する者、それぞれが満足感を得るために努力し、その頂点に立って活動される姿だと思います。  そこで伺います。  これまで取り組まれてきた知事のトップセールスの内容はどのようなものがあるのか。特筆すべき成果はどのようなものがあるか。今後、どのようなものに取り組んでいかれるおつもりか。それはどのような方針に基づき選定されるものなのか、お聞きいたします。  トライアル発注制度について伺います。  トライアル発注制度は、まさに県内の中小企業などが開発した独創的な製品を、県の機関が試験的に発注し、県内外への情報の発信と販路拡大を支援する制度だと理解いたしています。製品の中には、今や全国的に広く販路を拡大しているものもあります。  一方で、トライアル発注だけで、後のフォローアップが足りていないものもあるように思えます。せっかくトライアル発注したのですから、選定した製品がエンドユーザーに届くところまで、県のあらゆる機関の総合力を結集し、フォローすべきだと思っています。  そこで伺います。  この制度が発足してから何件の応募があり、何件が選定されてきたか。選定された製品のうち、県内外展示会などへの出展経費の助成などを行ったのは何件か。発注を機会に受注した企業は、販路拡大のためにこの制度をどのように活用されているか。これまで選定された製品のその後の追跡調査はどのように行われているのか。行われているとすれば、効果ありとするものと、効果がなかったとするものの分析を含め、調査結果をどのように生かされているのか。トライアル発注制度の成果をどのように分析しておられるか、お聞かせください。  次に、地域内発型の産業育成について伺います。  鹿児島県は、地域経済の浮揚を図り、雇用を確保し、地域の活性化につなげたいとして、企業誘致に積極的に取り組んでまいりました。しかし、経済不況、円高、デフレの進行とともに、県内に進出していた大手企業の撤退が相次ぎ、産業活動の一層の進展や雇用にも不安を抱え、暗い影を落としています。  鹿児島県の産業活動の一層の進展を図るには、撤退する心配のない企業の立地とともに、安定的な雇用を確保し、内発型の企業立地がぜひとも必要と考えます。そのためには、産官学が連携し、新しい発想と、生産から消費に至るまでの徹底した分析のもとに、官民挙げての取り組みがぜひとも必要と考えていました。  提案されている平成二十五年度当初予算案において、中小製造業者創業・新分野進出等支援事業に二億円を計上するとともに、大手進出企業の撤退等の動きを受けた対策など、中小製造業に対する施策を充実させた予算が盛り込まれているほか、進出企業に対する新たな補助制度を設けることとされており、大変心強く思っているところであります。  そこで伺います。  平成二十五年度予算案において、県内中小製造業への支援策の充実を図っていくとされていますが、その狙いは何か。  二点目は、これらの施策は、県内中小製造業者に活用してもらって初めて効果が得られることになりますが、示された予算をより効果的に執行するには、県内各組織の横串の連携や、これらの施策の周知が必要と考えますが、どのように考えておられるか、お聞かせください。  三点目は、中小製造業者創業・新分野進出等支援事業を初めとする施策の展開により、どのような効果を期待しているのか、お聞かせください。  次に、定住自立圏構想について伺います。  鹿児島県は、中山間地域、離島地域が多く、過疎化・高齢化が進んでいる地域でもあります。中でも、限界集落と言われるような地域を抱えた市町村は、耕作放棄地や空き家対策、一人住まいの高齢者対策、医療・保健・福祉対策、少子化による児童の減少に伴う教育・保育、若者の定住対策、災害対策等々、そこには悩ましい問題が数多く横たわっています。  とはいえ、高齢化は長寿化なのであります。それは我々の長生き願望が実現されたものでありまして、大変喜ばしいことでもあります。けれども、これらの集落を支えているのは共同体意識であり、行政サービスであり、医療・福祉サービスなどの分野であるわけですが、日常生活を支えるためのサービスを提供するためには、一定量の需要がなくてはならないわけであります。ところが、人口減少とともに、それさえなくなっていくという厳しい現実が横たわっているように思えます。  これらのことを勘案しますと、一つの自治体だけではとても対応できないようなことが出てまいります。このような中、圏域ごとに生活機能などを確保し、地方圏における定住の受け皿を形成するために策定されたのが、定住自立圏構想だと認識しています。  これまでの議会においても論議されたところでありますが、ここで、定住自立圏形成協定を結び、圏域の将来像や、推進する具体的な取り組みをビジョンとして取りまとめ、事業を推進しておられる市町村の現状と課題を検証しておく必要があるのではないかと考えます。  そこで伺います。  県内の中心市宣言を行っている中心市、中心市と協定を締結している周辺市町村はどのようなところがあるのか。中心市と周辺市町の間の定住自立圏形成協定及び中心市が策定した定住自立圏共生ビジョンの概要。各圏域における取り組み例、その効果及び取り組んだことによりストロー現象が生じ、一層の過疎化が進行するのではないかと危倶しているのでありますが、そのことの検証はなされているのか、お伺いいたします。  協定を結ぶことにより、必要な財政措置などなされていると思いますが、その内容はどうなっているのか。周辺市町が協定を破棄したい場合の手続と、何らかのペナルティーはあるものなのか。宣言している中心市のほかに県内で中心市としての要件を満たす市はないか。あればそれらのところに対する助言する考えはないか、お聞かせいただきたいと存じます。  福島県大熊町は、東京電力福島第一原発の立地町であります。原発事故以来、立ち入ることはできないわけであり、役場機能も会津若松市に移転しているところであります。小学校の子供たちは、会津若松市の廃校になった校舎を貸してもらって毎日学んでいるんだそうであります。そこで放射線のことについて勉強しているとの報道に接しました。  ところで、教育長は、原子力のことや放射線のことなどについて具体的に教わったことがありますか。べクレル、シーベルトの単位は何を基準に定められ、その影響はどのように捉えられ、私たちの日常生活の中でどのように活用され、役に立っているか。また、その怖さについて正しく理解している人は決して多くないと思っています。会津若松市で学んでいる児童たちは、手づくりの副読本を手に、自分たちでテーマを設けて学習しているのだそうであります。  あさって三月十一日で東日本大震災から丸二年がたとうとしています。日本は、世界で唯一の原爆の被爆国であります。また、先日は北朝鮮による地下核実験が行われたりして、放射能の怖さは国民ひとしく認識しているところであります。一方、私たちは原子力発電を初め、医療の分野では放射線利用による恩恵を受けており、その他、科学的な実証研究、産業活動に多く活用されております。  そこで伺います。  一点目、私たちは、原子力についての正しい知識を持つ必要があると思いますが、現在、小・中・高等学校における学校教育の中で、原子力について、放射線について、正しく理解する教育はどのようにして行われていますか。  二点目は、これらのことに取り組むため、子供たちの発達段階に応じた副読本の必要性を感じるのでありますが、その編集に取り組む考えはないか。そして、正しく理解するためにカリキュラムに取り入れるお考えはないか、お伺いいたします。  三点目に、鹿児島県は、UPZの範囲を三十キロメートルと定めるとされていますが、そのことを県民に周知する必要性はもちろんのこと、児童生徒などには避難訓練とともに、原子力防災対策についての知識を教えておくべきと思いますが、いかがお考えか、お伺いいたします。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 50 ◯知事(伊藤祐一郎君)トップセールスについてお尋ねがありました。  トップセールスのあるべき姿として、県のあらゆる組織・団体を糾合し、それぞれの組織団体が十分に活動し、成果を上げ、満足できる状態であり、その糾合する組織・団体群の長として活動、活躍すべきではないかという御指摘は、まことにごもっともであると考えております。  これまで、私みずからが先頭に立ちまして、鹿児島の持つ多彩な魅力を国内外に情報発信をしてきておりまして、農林水産物や特産品の宣伝販売、観光PR、企業誘致、航空路線の誘致などに取り組み、国内外における県産品の販路拡大や、本県への観光客の誘致、台北線の開設など、一定の成果を上げてきているところではありますが、最近になりまして、諸団体・諸機関も行政と一体となって行動してくださるようになってきていると感じております。  今後のトップセールスの展開方向としては、経済成長の著しい中国、香港、シンガポール等での本県の国際的な認知度の向上、環黄海経済圏などにおける今後の経済交流ネットワークの強化など、東アジアを見据えたトップセールスや、全国的な規模で事業を展開しております大手企業等のトップとの会談など、全国的な事業展開が見込まれるトップセールス、また、影響力のあるメディアの活用による効果的な情報発信を行うためのメディア対策などを基本として、最大の成果が得られるよう取り組んでいくことといたしております。  今後とも、国の内外を問わず、本県経済界等とも連携をいたしまして、本県の産業振興につながるトップセールスを展開してまいりたいと考えております。 51 ◯商工労働水産部長(田中和彦君)トライアル発注制度についてでございます。  まず、実施状況についてですが、制度が始まった平成十七年度から今年度までに、県内中小企業等から三百二十件の応募がありまして、このうち百二件を選定したところでございます。  選定製品につきましては、使用した結果を評価し、公表しておりますほか、県外の展示会への出展助成をこれまで延べ三十六社に対し行ったところでございます。  企業の販路拡大への取り組みにつきましては、本制度による受注実績を自社のパンフレット等に掲載し、営業活動の際にPRするなど、販路拡大に努めているところでございます。  県では、選定後の状況についてアンケート調査を実施しておりまして、昨年五月に行った調査結果によりますと、回答した企業の約九割が「効果あり」としておりまして、製品の信用力の向上や売り上げの増加につながっておりますほか、使用後の評価を製品の改良に生かしている企業もございます。  一方、当初期待していた受注機会の拡大等につなげられない企業も一部見受けられるところでございます。その要因といたしましては、競合品より価格が高いこと、営業力が弱いことなどが考えられます。  県といたしましては、売り上げの増加につなげるために、平成二十年度から県外の展示会への出展を支援するなど、施策の充実を図っているところでございます。  本制度の成果につきましては、売り上げの増加のほか、下請加工をしていた企業が自社の商品開発に取り組むなど、県内企業の商品開発力や収益の向上等につながっております。  今後とも、かごしま産業支援センター等の支援機能を活用しつつ、本制度を通じて、県内中小企業の商品開発力の向上や販路拡大等に努めてまいります。  県内中小製造業者への支援策の充実の狙いについてでございます。  製造業は、生産の拡大や新産業の創出などを通じまして、地域の経済・社会・雇用の各分野において大きな役割を果たしておりまして、本県経済の活力向上のためには、その担い手となる中小製造業者が発展・活躍することが重要であると考えております。  県といたしましては、今後、成長が見込まれる分野において、次世代の基幹産業を担う中小製造業者の育成等を図りますため、平成二十五年度当初予算案に、創業・新分野進出等の支援や、大手企業の撤退等の影響を受ける取引企業への対策等を盛り込んだところでございます。  これらの支援策の周知と効果的な執行につきましては、中小企業の振興に関するかごしま県民条例に基づく平成二十五年度推進計画に、これらの施策を盛り込みますとともに、各地域振興局・支庁で開催する意見交換会において、事業内容の説明を行うことといたしております。  また、今月下旬に開催する市町村への説明会や、かごしま産業支援センターなどを通じて、県内企業への情報提供を行いますほか、事業実施に当たりましては、関係各課とも十分に連携しながら公募を行いますなど、効果的な執行に努めてまいります。  期待する効果等につきましては、新分野進出や規模拡大等を目指す中小製造業者が取り組む経営計画の策定、研究開発、設備投資等に対し、一貫した支援を行いますほか、撤退等の影響を受ける取引企業の新たな取引先の開拓支援などによりまして、経営力の強化及び技術力、販売力等の向上が図られるものと考えております。 52 ◯総務部長(布袋嘉之君)定住自立圏構想についてでございます。  まず、県内で中心市宣言を行った市は、鹿屋市と薩摩川内市がございます。  鹿屋市は、垂水市など二市五町と定住自立圏形成協定を締結し、大隅定住自立圏を形成しております。  薩摩川内市は、広域的な合併を行った場合に認められる定住自立圏として、一市のみで薩摩川内市定住自立圏を形成しております。  また、志布志市と曽於市は、中心市である宮崎県の都城市と協定を結び、県境を越えて都城広域定住自立圏を形成しております。  定住自立圏の形成に当たっては、構成市町村が議会の議決を経て協定を締結し、共生ビジョンを策定することとされており、大隅定住自立圏では、医療や地域公共交通等の分野で協定が結ばれ、ビジョンにおいて「愛着と誇りを持てる自立した地域社会の創造」を掲げております。  薩摩川内市定住自立圏では、産業振興や福祉等の分野について、協定にかえて定住自立圏形成方針を策定し、「都市力の強化による定住自立圏の創出」をビジョンとして掲げております。  都城広域定住自立圏では、医療や道路等の交通インフラの整備等の分野で協定が結ばれ、ビジョンにおいて、「集約とネットワークで築く県境を越えた南九州の広域都市圏」を掲げております。  定住自立圏の取り組み例、効果、検証についてでございます。  各圏域における具体的な取り組み事例の主なものとしては、大隅圏では、夜間急病センターの開設、鹿屋─鹿児島中央駅間の直行バスの運行などがございます。薩摩川内市圏では、市内横断シャトルバスの運行や子供医療費助成の拡充などが行われており、都城圏では、救急医療拠点施設の整備や都城志布志道路関連のアクセス道路整備などに取り組まれております。  このような取り組みの結果、昨年八月に国が行った定住自立圏構想の現状についての調査において、いずれの圏域においても、生活機能の強化や住民の利便性の向上につながったとしております。  共生ビジョンについては、取り組みの成果を勘案しながら毎年度見直すこととされておりまして、各圏域においては、十分な検証が行われ、所要の変更がなされているところでございます。  次に、定住自立圏構想の推進のための財政措置についてでございますが、中心市には年間四千万円程度を基本とする額、周辺市町村には、一市町村当たり年間一千万円を上限とする額が特別交付税として措置されるほか、地域活性化事業債の活用や個別の施策分野における財政措置などが講じられております。  協定の廃止の手続につきましては、一方の当事者たる市町村から、議会の議決を経た上で、廃止を求める旨の通告があった場合には、二年を原則としまして、一定期間の経過後に廃止される旨を協定に規定することとされておりまして、ペナルティーのようなものはございません。  まだ取り組まれていない市への対応についてでございますが、中心市要件を満たす市は、県内では、ほかに鹿児島市など七市がございます。県としては、引き続き、定住自立圏構想について、国が開催するシンポジウム等の周知や先行取り組み事例の紹介などの情報提供、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。 53 ◯教育長(六反省一君)学校における原子力や放射線に関する教育についてでございます。  現在、中学校におきましては、理科で原子力の発電利用と環境への影響や、放射線の医療等における利用と人体に与える影響など、原子力や放射線の有用性と課題の両面について指導をいたしております。  また、高校におきましても、物理基礎の中で、原子力発電の仕組み、ベクレルやシーベルトの放射線の単位を含む放射線の種類、性質、原理などについて詳しく指導いたしております。  カリキュラムのお話がございましたが、今後もこうした教育活動の充実に努めてまいりたいと考えております。  副読本につきましては、文部科学省において、小・中・高校生向けにそれぞれ作成され、県内ほとんどの小・中・高校に配布されております。この副読本は、放射線の利用や影響、避難方法などについて、発達段階に応じた指導の一助として活用されているところでございます。県教委としては、各学校において放射線に関する学習を行う場合には、この副読本を活用することが適当であると考えております。  学校における原子力防災対策についてでございます。  原子力災害対策を重点的に実施すべき区域につきましては、三十キロメートル圏とする方向であり、区域内にある学校等においては、避難訓練の実施や原子力災害の特性及び対策に関する学習が必要であると考えております。  現在、県教委では、東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故等の教訓を踏まえ、自然災害や原子力災害等に適切に対応ができるよう、学校における危機管理の手引を作成し、支援することとしているところであり、各学校においては、この手引を活用した避難訓練を実施いたしますとともに、放射線副読本等を活用して放射線や原子力防災に関する学習が行われるよう、今後、関係教育委員会を通じ、指導してまいりたいと考えております。    [桑鶴 勉君登壇] 54 ◯桑鶴 勉君 中小企業製造者創業・新分野進出等支援事業を初めとする思い切った予算編成は、鹿児島の地からイノベーションを起こしてほしいとの期待を抱かせるものと存じます。県民を挙げて、改めて足元にあるすばらしい素材を見直し、地域内発型の産業育成に努めたいものであります。  トライアル発注制度についてございました。  産業支援センターや二水会など、鹿児島の独創性に満ちた製品の売り込みのための努力をされている方々との一層の連携のもと、県内内発型の企業立地が一層進むように要望いたしておきます。  定住自立圏構想について答弁いただきました。  過疎化・高齢化が進む中で、我がまちにはないものを、あるものが補い合っていくチーム編成が必要不可欠な時代になってまいりました。自治体同士の壁を越えた連携が求められていると思っていますし、県の市町村に対する助言が大切と思いますので、一層の連携の強化を要望いたしておきます。  次の質問に入ります。  入札制度について伺います。  私ども地元自民党県議団は、他県の入札制度の実態を調査するとともに、県内の建設業者の置かれた実情などを把握するために、振興局ごとの建設業協会支部との意見交換会を開催させていただき、入札制度のあり方の改善点などの整理作業をいたしました。そして、公共工事の品質確保に関する法律の精神に基づき、公共調達のあり方を適正化し、ただ安ければいいという観点だけでは建設業の疲弊を招き、ひいては災害時に即応する対応などとれなくなるなどの理由から、公共工事発注に伴う入札制度のよりよい改善に向けての提言などを行ってきているところであります。  例年どおり、ことしも四月一日からの施行に向けて、現在その改善作業が進められていると存じます。そこで、私どもの申し入れた内容等についての方向性や、現在の検討状況などについて伺います。  まず、格付のあり方であります。  地域の雇用確保、地域経済・産業活動の維持、災害対応及び地域防災の強化などの観点から、各地域にバランスのとれた業者数の必要性を考慮されたいとしています。クラス分けの基本的な考え方と必要数についてお聞かせください。  次に、地域におけるバランスのとれた業者数の確保のための地域要件、JV制度及び入札制度の運用の検討について、どのような配慮がなされているのか。  三点目は、予定価格の引き上げと最低制限価格のさらなる引き上げを検討されたいとしています。積算の考え方として、適正な、より実態に合ったものとするための検討が必要と思いますが、どうか。  また、現在、最低制限価格が設定されていない寄洲除去等の維持修繕工事等についても、業界の厳しい実態を踏まえ、最低制限価格を設定すべきと考えますが、どうか。  四点目は、入札制度における、ボランティア活動の内容の見直しによる企業負担の軽減については、どのような検討をされているのか。  五点目は、指名競争入札制度については、維持存続に努められたいとしていますが、検討状況をお聞かせください。
     通告いたしておりました社会保険の加入状況、工事成績評定、離島物価の評価などについては、要望にかえさせていただきます。  まず、社会保険の加入状況を入札制度に反映していただきたいということであります。  公共工事にかかわるものは、下請まで全て社会保険への加入が義務づけられました。設計段階における一般管理費のさらなる増額を要望いたしておきます。  工事成績評定については、人によって、あるいは工事によって評価が違ってはいけないと思っていますので、尺度を同じくして当たられるよう、さらなる努力を要望いたしておきます。  離島物価の評価等については、これまでも強い要望が出されているところでありますので、最大の配慮をお願いいたします。  次に、補正予算の早期執行について伺います。  先日、今年度の大型補正予算の成立を受けて、国土交通省は、緊急経済対策のための公共事業の早期発注について、各発注機関に通達するとともに、地方自治体へも周知徹底するよう求めております。  通告いたしておりましたダンピング受注防止や、不調不落対策の適正価格と技術者確保については、これまで質問が出されておりますので省略いたしますが、次の二点について伺います。  一点目、まず、入札手続の簡素化などを図って、早期発注に努めるように求めていますが、県としてはどのように対処されていかれるおつもりか。  二点目は、資金繰りの円滑化についてはどのように対処されるおつもりか、伺います。  鹿児島東西道路について伺います。  一昨日も同僚議員から質問があり、中洲交差点の下り車線をふやすことなど答弁がありましたが、さらに質問してまいります。  供用開始されることにより、中洲通りからの上り車線については、幾分緩和することになると思います。しかし、下り線トンネルを出てから建部神社前、武町及び中洲電停交差点が直近に連続しているため、交通処理能力は改善されないままの状態にありますので、建部神社前、武町及び中洲電停交差点の南北の流れと、トンネルを出てからの下り車線については、中洲交差点改良によっても車線数が増加しないため、引き続き渋滞が残ると思います。  鹿児島東西道路は、鹿児島市市街地へのスムーズなアクセスを図り、時間短縮効果を最大限に生かさなければならない最重要路線であります。そのために、国、県、市及び学識経験者の代表で構成する鹿児島東西道路整備検討会で、計画及び施工方法などについて、関係機関相互の連携のもと、総合的な計画調整を図ってこられたとお聞きしているところであります。  また、鹿児島東西道路の建部インターチェンジ設置については、さきの質問にあったとおり、地元住民の皆様は、このままの状態では反対であり、甲南インターチェンジまでの事業採択を条件に同意されていることや、この道路の整備事業の一定のめどが立ちませんと、南北幹線や国道十号鹿児島北バイパス工事の事業化など、厳しい状況が予想されるところであります。  そこで伺います。  鹿児島東西道路の国からの事業計画通知や、県負担の予算、本年度の予算は九十八億円余りと二十四年度より四億円増額となっておりますけれども、これらのことを考慮しますと、平成二十五年度の計画が気になるところであります。どのようになっているのか伺います。  二点目は、国は、建部インターチェンジから甲南インターチェンジ間について、工事着手に向けて検討を始めていると聞きますが、その内容はどのようなものなのか伺います。  三点目は、建部インターチェンジから甲南インターチェンジ間の曙陸橋は、昭和三十六年に架設され、五十年以上経過しており、近い将来、かけかえが必要と思われます。現在の交通量は、四万台をはるかに超えていると聞いており、工事中の交通処理など、かけかえ工事には困難が伴うと考えられますが、鹿児島東西道路の工事との関係も含めてどのように対応されるつもりか、お伺いいたします。  四点目は、知事は、鹿児島東西・南北幹線道路整備促進期成会の要望の折に、「東西線、南北線、錦江湾横断の各道路は横に並べて検討する」との発言がなされたと仄聞いたしております。  一般的に、事業化されているものは、計画完了へのめどがつきませんと次の事業に着手しないものと思いますし、新しい事業に着手するとすれば、現在事業中のものは打ち切らねばならないと思っています。  そこで、鹿児島市内の幹線道路ネットワーク上必要とされる、鹿児島南北幹線、国道十号鹿児島北バイパス、さらには、可能性調査の結果について先日公表された、錦江湾横断交通ネットワークの検討状況についてお伺いいたします。  五点目は、先ほど申し上げました地元住民の意向をどのような形で理解しておられるか。  六点目は、自民党県議団は、平成二十五年度予算要望事項の中に、東西道路の整備促進を特別に一項目設けて要望いたしましたが、そのことをどう受けとめておられるか、お伺いいたします。  次に、ポートルネッサンス計画について伺います。  去る一月二十三日、鹿児島港本港区のあり方を検討する鹿児島港ポートルネッサンス21事業推進協議会において、平成二十年から更地化を進められている鹿児島市住吉町十五番街区について、所有する県と鹿児島市が売却を含めて幅広く活用策を検討することを確認した。使途については、公益性やまちづくりの観点を重視するとしています。  住吉町十五番街区は、県有地と一部鹿児島市有地から成り、鹿児島港本港区ウォーターフロント開発基本計画で南ゾーンとして位置づけられ、隣接する高速船ターミナルや駐車場とともに、展示場などの建設が計画されているところであります。  現在、県有地に民間ビル一棟が残っている状態であり、残りの一部分は近隣の民間企業の駐車場に貸している状態であります。山田会長は、「今後、協議会のあり方も考えなくてはならない」と整理する考えも示しながら、現時点で基本計画自体の見直しは考えていないとのことであります。  そこで伺います。  公益性やまちづくりの観点を重視しながら、売却も含め検討するとしていますが、民間を含め売却するとすれば、その使途についてのいろいろな制限があると思います。もっと幅広の使途が求められるわけでありますが、この地区は、都市計画法上は何に当たるのか。用途についてはどのような規制がかかっているものなのか。港湾法上の規制はどのようなものがあり、変更にはどのような手続が必要なのか。  二点目は、公益性やまちづくりの観点とは、具体的にどのような条件を想定しておられるのか。  三点目は、民間ビル一棟の除去については、これまで退去された方々と同じ条件で交渉されておられると思うが、理解される見通しはお持ちなのか。  四点目は、現在、十分な活用のされていない北埠頭旅客船ターミナル活用策は、今後どのような活用策を図っていかれるのか、お聞かせください。  路面電車の延長問題については、午前中の質問と全くダブりましたので割愛いたします。  鹿児島港港湾計画改訂についてお伺いします。  鹿児島新港の整備は鋭意進められているところであり、また、木材港とマリンポートの間の橋が工事中であり、これが完成しますと、南側の臨港道路は一応のめどがついたことになります。マリンポートから鴨池港、本港区における臨港道路については、いまだ手のつけられない状態が続いています。  これから先、住吉町十五番街区の活用をどう考えるのか。鴨池港とマリンポートを結ぶルートはどのように考えるのか。南港区の整備計画をどう考えるのか。木材港のあり方の検討はどう進めるのか。現在のままの港湾整備計画では対応できない課題が山積いたしております。  そこで伺います。  港湾計画改訂の作業に着手しなければならない時期が来ていると思いますが、見解をお伺いいたします。  次に、県代行事業について伺います。  国土交通省は、技術職員が不足し、老朽化対策のおくれている地方道の橋やトンネルなどの改修を都道府県や市町村にかわって、改修計画の作成から工事の発注、監督、完了検査までを代行し、自治体の支援に乗り出すための道路法改正案を今国会に提出することを決めたようでありますが、その概要をお聞かせいただきたいと思います。  二点目は、一方、市町村道の県代行事業は、過疎地域や半島振興対策実施地域において、都道府県が道路管理者である市町村にかわって行う事業であると理解していますが、その概要についてお聞かせください。  採択される事業は、どのような種類のものがあるのか。どのような要件を満たせばこの事業が採択されるのか。県ではこれまで県代行事業を実施した実績はあるのか。県は事務事業の市町村への移管を積極的に進めているところでありますが、地方分権の流れと、このような事業を実施する必要性はどのような場合が想定されるものなのか、お聞かせください。  最後に、遊休地活用について伺います。  県立西高等学校跡地は、鹿児島市が購入の意向を示しているとの報道に接しました。  県立養護学校跡地については質問が出ておりますので省略いたしますが、この場所は、吉野区画整理事業の次期計画区域として、近く都市計画決定に向けての作業が進んでいるところでありますので、その活用にはもろもろの制限があると存じます。この場所は吉野地域の中心部に位置していることから、広く住民に利用できるような活用を図ってほしいとの要望が強いのでありまして、鹿児島市とのしっかりとした協議のもと、住民の要望がかなえられるよう要望いたしておきます。  警察学校跡地の活用については、民間への売却を含め検討することとなっています。その中で、地域住民の皆様方から、住民が広く利用できるような活用を図ってもらいたいとの強い要望の出されているグラウンド部分については、分筆し、そのまま県が所有すると伺っています。そのとおりか。そのとおりとすれば、どのような活用を考えておられるか、お聞かせください。  二回目の質問といたします。 55 ◯土木部長(栗原淳一君)まず、入札制度の格付検討状況です。  県では、県内建設業者の経営環境が悪化する中で、技術と経営にすぐれた建設業者の育成を図る観点から、土木一式A級業者数について、段階的に削減を行ったところであり、平成二十五、二十六年度格付においても、引き続き削減を行う必要があると考えています。  格付に当たっては、公共事業の動向や、地域に根差した技術と経営にすぐれた建設業者の育成を図る観点を考慮し、対応してまいります。  また、JV制度や入札制度の運用に当たっては、入札の競争性を確保するとともに、地域性に配慮し、地元企業の受注機会が確保されるよう対応してまいります。  予定価格等についてです。  予定価格については、実例価格等の調査に基づく労務単価等により積算しています。一方、適正な予定価格のあり方などの入札契約における課題を検討するため、自由民主党に検討委員会が設けられたほか、関係省庁に作業部会が設置されると聞いており、その検討結果を踏まえ、対応したいと考えています。  最低制限価格の設定については、品質確保の観点に加え、地域の経済と雇用を担っている建設業者の下支えを図ることを目的として、平成二十一年八月から、国の定めるモデルに独自の割り増し措置を講じています。  また、これまで最低制限価格の適用対象外としていた寄洲除去等の維持修繕工事で低価格の入札例が散見されることなどから、本年四月からの最低制限価格の導入に向けて検討しています。  ボランティア活動についてです。  県では、建設工事の入札参加資格格付等において、ボランティア活動などの地域貢献活動の取り組みを評価の対象としていますが、平成二十五、二十六年度の格付においては、企業負担の軽減を図るためボランティア活動の回数を見直したところです。  指名競争入札制度についてです。  指名競争入札は、地域の建設業者の受注機会の確保や入札にかかわる事務の簡素化等の利点等から、設計額五千万円未満の建設工事において適用しており、来年度も継続することとしております。  続きまして、補正予算の早期執行についてです。  今回の補正予算等にかかわる工事の執行については、閲覧期間の短縮などの入札手続の迅速化等を行うとともに、検査及び支払いの迅速化、債権譲渡承諾の迅速な処理等の資金繰り対策を講じるよう各発注機関に通知したところです。  続きまして、鹿児島東西道路のうち、平成二十五年度の整備計画についてです。  鹿児島東西幹線道路は、鹿児島インターから鹿児島市街地へのアクセス機能の強化等を目的として、国において、鹿児島インターから甲南インター間の整備を進めています。平成二十五年度においては、新武岡トンネルの供用に向け、トンネル照明設備などの工事を行うとともに、建部インターから甲南インター間のトンネル設計等を進めると聞いております。  建部から甲南間の検討状況についてです。  建部インターから甲南インター間については、現在、学識経験者や国、県及び鹿児島市などで構成する鹿児島東西道路整備検討会を設置し、検討を進めているところです。当区間については、曙陸橋やJR線の直下を通るトンネルを施工すること、甲南高校前のインターチェンジ建設においては、限られた空間の中で多くの車両を通しながら施工することなど、解決すべき課題もあることから、その構造や施工方法などについて検討を行っているところです。  曙陸橋のかけかえについてです。  曙陸橋周辺は、一日四万三千台の交通量があり、朝夕を中心に慢性的な渋滞が発生しています。将来、かけかえ工事を行う場合には、交通処理対策、JRとの調整、周辺地域への影響など、解決すべき多くの制約条件があると考えています。また、曙陸橋の直下を通過するシールドトンネルについても考慮する必要があることから、現在、検討会において、将来のかけかえ工事に支障がないよう総合的に検討を進めているところです。  鹿児島南北幹線道路等の検討状況です。  鹿児島南北幹線道路については、鹿児島市街地を通る大規模な事業となることや、港湾事業との調整、整備手法等の検討など多くの課題があり、現在、臨港道路や既存の道路の活用も含めた整備手法等の検討を進めているところです。  鹿児島北バイパスについては、国において、海浜ボックスルートの検討とあわせて、山岳トンネルルートの検討を行っており、現在、磯地区の山間部において地質調査等が進められております。  地元等の要望に対する県の認識ですが、建部インターから甲南インター間の早期整備について、これまで地元の方々やバス、トラックなどの道路利用者、経済界など各方面から多くの要望をいただいております。  県としては、その整備の必要性は十分認識しており、検討会を設置し、検討を進めているところです。引き続き、県議会の御協力をいただきながら、県開発促進協議会等を通じて、鹿児島東西幹線道路の整備促進について、国に対し要望してまいります。  続きまして、ポートルネッサンス計画のうち、住吉町十五番街区土地利用規制についてです。  住吉町十五番街区は、都市計画法により、準工業地域、大規模集客施設の立地を規制する特別用途地区及び港湾を管理運営する臨港地区に指定されています。一方、港湾法により、臨港地区内の分区として商港区が指定され、準工業地域や特別用途地区による規制は適用が除外されています。  商港区は、待合所等の港湾施設、港湾関連事務所、店舗やホテルなど、県条例で規定している建物以外の建築が規制されています。  なお、分区の変更や廃止の手続に当たっては、地方港湾審議会へ付議することが必要となっています。  公益性やまちづくりの観点についてです。  住吉町十五番街区については、住民生活に必要なサービスを提供する公益性の高い施設や、同街区を含む中心市街地の経済的・文化的活動に資する施設の整備等を図ることを狙いとして、売却することも含めて幅広く検討を進めることとしております。  同街区は、すぐれた自然景観や中心市街地に近い地理的特性を有していることから、これらを生かした活用を図るため、今後、具体的な条件について検討を進めてまいります。  更地化に伴う民間事業者との交渉です。  同街区については、これまで、関係者の御理解を得ながら更地化を推進してきたところです。現在残っている民間事業者についても、これまでと同様の考え方で調整を進めているところです。県としては、同街区の活用に支障を来さないよう、引き続き交渉を進めてまいります。  北埠頭旅客ターミナル活用策についてです。  北埠頭旅客ターミナルは、現在、奄美・喜界航路等の運航会社やNPO法人が使用しており、また、花火大会などのイベントにも利用されています。  県としては、平成二十一年度に開催された鹿児島港の在り方懇談会で、活用策の御提言をいただいており、これらを念頭に、できるだけ早期に有効活用が図られるよう努めてまいります。  鹿児島港港湾計画改訂についてです。  鹿児島港においては、社会経済情勢の変化に伴う課題に対応するため、これまでも、新港区の整備に際し、港湾計画の一部変更を行うなど適宜対応したところです。現在は、臨港道路の整備や旧木材港区の再開発などの課題に取り組んでいるところであり、今後、これら諸課題に対する検討を進め、必要に応じ、港湾計画の変更を行うこととしております。  続きまして、県代行事業についてです。  まず、国による地方道整備の代行ですけれども、国土交通省は、道路構造物の老朽化対策として、地方道の橋梁、トンネルなどの改築や修繕に関する工事のうち、高度な技術を要するものを国が代行する制度を検討しており、道路法等の改正案を今国会に提出予定と聞いております。  市町村道の県代行事業についてです。  県代行事業とは、過疎地域自立促進特別措置法に基づく過疎地域などにおいて、主要な集落同士を結ぶ市町村道などの整備を県がかわって行うものです。  本県では、橋梁など高度な技術を要するものを含む道路の整備を対象とし、国の補助事業に採択され、用地補償が完了していることを要件としており、県の財政状況等を考慮しながら判断しております。これまで、三十六市町村、七十六路線、八十七カ所で実施してきており、現在、曽於市で事業を実施しております。  県代行事業の必要性についてです。  県代行事業については、県と市町村の役割分担を踏まえ、市町村が用地取得を完了していることなど、平成十四年度にそのあり方を見直しましたが、過疎地域等の振興を図る観点から、必要性は認識しており、橋梁など高度な技術を要するものを含む道路で事業実施を個別に判断しております。 56 ◯知事公室長(古川仲二君)錦江湾横断交通ネットワークにつきましては、これまでの調査で、ルートや構造、事業スキームや県の財政負担等について整理を行ってまいりましたが、今後の検討課題として、入念な地質調査や関係機関との協議・調整等が挙げられております。  本プロジェクトの必要性につきましては、事業の採算性、国の基本方針、鹿児島市を初めとする関係自治体の理解、県民の意向、県議会での御議論等を踏まえ、総合的に判断する必要があると考えておりますが、まずは、これまでの調査結果を広く県民の皆様に周知するとともに、各関係機関との情報や意見の交換を行いながら、残された課題の整理に取り組んでまいりたいと思います。 57 ◯警察本部長(杉山芳朗君)警察学校跡地のグラウンド跡部分の所有についてであります。  警察学校跡地につきましては、平成二十一年三月に策定した県有財産有効活用方策において、隣接する待機宿舎跡地とあわせて売却する方針を示したところであります。しかしながら、グラウンド跡部分につきましては、平成五年の八・六水害を機に、雨水流出を抑制するための雨水貯留施設として整備した経緯を踏まえ、県が保有するとしているところであります。  この警察学校跡地のグラウンド跡部分の活用についてでありますが、県が保有するグラウンド跡部分につきましては、雨水貯留施設としての利用以外に県としての利活用計画はありません。地元住民の利用要望を踏まえ、鹿児島市からの譲渡・貸し付けの申し出があれば対応を検討してまいります。    [桑鶴 勉君登壇]
    58 ◯桑鶴 勉君 入札制度について御答弁いただきました。  入札制度は、これがベストだということはないわけであります。社会情勢や県の財政状況、業界の実情などを反映した、よりベターな制度のあり方をこれからも模索し続けていかなければならないと思っています。  いずれにしましても、建設業は、県の経済を支える大きな柱の一つでありますので、これからも、その健全なあり方について意を用いていただきますよう要望いたしておきます。  知事は、かねてから、本県の社会資本の整備は他県に比べて大変おくれており、継続事業の早期完成を図りながら、県内の交通ネットワークの構築を急がなければならない旨の発言をされております。鹿児島東西道路は、まさに鹿児島市の交通ネットワークのかなめになる道路であります。事業レベルを落とすことなく推進していただきますよう強く要望いたしておきます。  警察学校跡地は、現在、普通財産となっており、もし、グラウンド部分を地域行事などのために借用するとすれば、規定に基づいて高い利用料を払わなければならず、すぐそこに施設として利用できる場所がありながら、地域住民の方々にとっては指をくわえて見ている状態であります。雨水貯留施設の管理上の問題などあると思いますが、鹿児島市との協議を急いでもらいたい。向こうから要望があれば検討する。鹿児島市に聞きますと、県から無償で貸与あるいは譲渡でもしようと話があれば検討する。お互いにキャッチボールがここのところ随分長く続いています。一刻も早い鹿児島市との協議を急いでもらいたいものと思っています。  そして、普通財産を広く利用するための対応も考慮していただきたい旨、要望いたします。  さて、政権がかわり、円安・株高へ誘導し、デフレ景気の脱却のために、三本の矢政策の実行によって、日本経済の再生を期すとの安倍総理の強いリーダーシップのもと、積極的な取り組みによってそのことが数字としてあらわれております。現在のところ、アナウンス効果にもよるものが大だと思われますが、日本が将来へ向けて確実な歩みを続けるために、将来の財政危機を招かないために、本当の意味での産業の活性化が必要なのであります。日本全体にイノベーションの機運が起こることを期待しながら、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 59 ◯副議長(たけ昭一君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 60    △ 日程報告 ◯副議長(たけ昭一君)三月十一日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び議案の委員会付託であります。       ───────────── 61    △ 散  会 ◯副議長(たけ昭一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十六分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...